【特集 No.640】バッドロケーション戦略 通行量少なくても独自性で集客
2023年8月1日(火) 配信
バルニバービ(佐藤裕久会長CEO、大阪府大阪市)は、好立地と評価されないが、街並みや水辺、公園など周辺環境に恵まれた場所に出店する「バッドロケーション戦略」を展開したノウハウを生かし、地方創生に取り組んでいる。2019年には兵庫県・淡路島で飲食店のほか、食を中心とした宿泊施設とレジャー施設で構成する「Frogs FARM ATMOSPHERE」を開業。22年の年商は約10億円、年間来場者数は約30万人となった。今後、日本各地で食を通じた地方創生に取り組んでいくという。佐藤会長CEOに詳しい話を聞いた。
【木下 裕斗】
□1日50人の路地でも“満席”に
――会社の始まりはいつからですか。
1995年に、大阪市の南船場でカフェ「アマーク・ド・パラディ」をオープンしたのが始まりです。
当時は人もまばらな問屋街で、ほかの飲食店が見向きもしないバッドロケーションでした。南船場にはアマーク・ド・パラディの開業以降、若者向けの高級衣料品店やカフェ、レストランなどがオープンしました。街が大きく変貌を遂げた一役を担えたと思っています。
――バッドロケーションとは。
多くの外食従事者にとって店前の通行量の少なさや、駅からの遠さなど〝Bad(バッド)〟な環境であるが、水辺や公園など周辺環境に恵まれた場所を当社は〝バッドロケーション〟と呼んでいます。
人の流れに合わせてお店を開業する会社が多いなか、人の流れを開発することを主眼に、各店舗には、周辺環境に合わせたコンセプトやデザイン、商品などオリジナリティを追求することで、行きたくなる店を目指しています。
駅の近くや流行りのメニューを求めて行くのではなく、居心地のいい場所で1杯のカフェを飲みながら、長居してしまうような店舗づくりに努めています。
東京本部(台東区蔵前)が入居する7階建ての建物は、バッドロケーション戦略によるレストランやカフェ、バーなども入居しています。ここは玩具の問屋街で、オープン前は、建物前の道路には1日50人も歩いていませんでした。
しかし、隅田川の夕日や東京スカイツリーなどを眺めることができます。毎年7月に行われる隅田川花火大会を観覧することもできます。大会の開催当日は、テラス席など花火が綺麗に見える席が予約で埋まるまで集客に成功しました。
――オリジナリティの実現方法を具体的に教えてください。……
【全文は、本紙1908号または8月7日(月)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】