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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(151)能動的にリピーターを創造する 確率を上げる仕掛け

2023年8月13日(日) 配信 

 

 リピーターを創り続けることがビジネスの目的で、その結果として利益が生まれます。毎回「椅子取りゲーム」のように、莫大な広告・宣伝費をかけて、その日の売上を得るだけのビジネスでは、十分な利益を残すことは難しい。

 私たちは、リピーターを創るために顧客満足度を上げようと、現場で毎日一生懸命に顧客対応をしています。しかし、満足が提供できればリピーターになってもらえるという考え方はもう一歩前進させる必要があります。それは、能動的なリピーターづくりをするということです。

 「見送り」は、リピーターづくりの最後の大切なポイントです。旅行カウンターに相談に来たお客様との話が終わり、「一度検討してから申し込みます」と言って帰られても、その後に本当に申し込まれるかは、お客様次第です。

 より確実に申し込んでもらうため、お帰りになるときに、しっかりと実行すべきことのひとつに「見送り」があります。「見送り」を、接客した担当者だけに任せていてはいけません。店舗の責任者が、しっかりとあいさつしておくことが必要です。名刺を渡して、ご来店のお礼と共に申込に関しての後押しをすべきです。確率を少しでも上げる仕掛けこそが、成約やリピーターづくりには必要なことなのです。一方で旅館の「見送り」は、「また来てもらいたい」という想いを伝えるインパクトのある仕事です。

 あるとき、食事を終えたレストランで、帰りのタクシーを呼んでもらいました。しばらくすると、スタッフがタクシーの到着を知らせ、わざわざ見送りに出てきたのです。乗車してすぐ、運転手に行き先のナビ登録をお願いすると、「少し前まで行って、登録させていただきますね」という返答に驚き、感動しました。運転手はタクシーの横に立ち見送りする店のスタッフに気づいていたのです。

 ある旅館で、同様のケースでの対応を聞きました。お客様が玄関先で同行者を乗せた後に、カーナビ操作をしているときはあえて見送りをせずに、その場を離れるということです。これもひとつ気遣いではありますが、それではお客様に普段から見送りをしない旅館に見えてしまうかもしれません。これは大変残念なことです。

 カーナビを利用するお客様に気づいたら、会話をするチャンスと考えて思い切って話し掛けてみましょう。これからどちらに行かれるのかを伺い、お客様に有益な地域情報を提供する機会にするのです。大切なのは、宿泊時に良い接客ができたからまた来てもらえるのではなく、見送りの時に良い印象を強く残すことが、お客様の記憶に残りリピーターとなる確率を上げることにつながるのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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