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持続可能な取り組みで新たな発展を JATA関東支部と東京都が訪日セミナー

2023年9月6日
編集部:飯塚 小牧

2023年9月6日(水) 配信

JATA関東支部鈴木誠一支部長

 日本旅行業協会(JATA)関東支部インバウンド委員会は8月29日(火)、東京都産業労働局観光部と共催でインバウンドセミナーを開き、82人が参加した。10回目を数えた今回のセミナーでは、急速に回復する訪日旅行市場において、持続可能な観光に取り組む意義や新たな発展の在り方などを学んだ。

 冒頭、あいさつに立ったJATA関東支部の鈴木誠一支部長はインバウンド市場について、コロナ禍からの順調な回復を示す一方、「現場から、日本のホスピタリティの質の低下が聞こえてきている」と懸念を示した。急激な需要の回復に伴い、観光産業の現場では人手不足が深刻化しているが、とくに顧客から苦言が多いのが宿泊施設だという。

 鈴木支部長によると、訪日客は日本的サービスを期待しており、高い価格帯で質を担保しているホテルなどは満足度が高いが、中間層の価格帯のホテルを利用する訪日リピーターから、コロナ前よりもおもてなしの質が下がったというクレームが増えている。

 「競合のタイは満足度の高いホスピタリティを提供しており、訪日リピーターの減少が懸念される。外国人観光客獲得はグローバルの戦いで、勝ちにいかなければならない」と危機感を露わにし、持続可能な観光と量から質への転換の必要性を訴えた。

 東京都産業労働局観光部の向井一弘部長は、都が東京都観光産業振興プラン「プライム観光都市東京」を旗印に観光施策を進めていることを紹介。「観光産業の経営力を下支えし、観光資源の磨き上げを推進している」と述べた。

 東京都の名所づくりとして、10月31日、池袋に新たなアニメの拠点を設ける。都が所有するセル画などを一般公開し、訪日客を誘致したい考え。夜間観光の充実は、プロジェクションマッピングの助成や都庁舎のライトアップなどを行う。同部企画調整担当の國生哲郎課長は、「東京をマッピングの聖地にしていきたい」と意気込んだ。

観光庁専門官・大野一氏

 セミナーには、観光庁観光産業課専門官の大野一氏が登壇し、「持続可能な観光に取り組む意義」について講演した。

 大野氏はオーバーツーリズムの弊害を紹介したうえで、貴重な観光資源を喪失しないためにも旅行会社による持続可能な旅行商品造成の重要性を述べた。ビジネスには懐疑的な意見も聞こえるというが、「データによると世界の83%の旅行者が持続可能な観光は不可欠と考えている。とくに欧州や豪州で意識が高く、ビジネスチャンスだ」と強調。「旅行会社の皆さんには、地域の取り組みの頑張りに応え、持続可能な観光地として伸ばしていく役割がある」と力を込めた。

 また、「今の小・中学生は当たり前にSDGsを学んでいる。取り組まなければ将来の働き手や顧客も得られない」と注意を促した。

 こうしたうえで、「持続可能な取り組みは0か100かではない」とし、観光庁が作成している「日本版持続可能な観光ガイドライン」などを参考に、「肩の力を抜いて、できることから取り組んでほしい」と呼び掛けた。

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