「萃香園ホテル」(福岡県久留米市)経営事業者が特別清算開始命令受ける(帝国データバンク調べ)
2023年10月4日(水) 配信
萃香園(代表清算人=川村芳子氏、福岡県久留米市)は9月15日(金)、福岡地裁久留米支部から特別清算開始命令を受けた。帝国データバンクによると、負債は約10億円。
同社は1882(明治15)年創業、1937(昭和12)年11月に設立されたホテルの経営業者。「萃香園ホテル」の屋号で宿泊や結婚式の運営などを手掛け、過去には明治天皇が利用するなど、「皇室御用達のホテル」としても高い知名度を誇っていた。2000年12月期には、年間収入高約19億3300万円を計上していた。
しかし、客室数が少なく宿泊客の利用は限定されていたほか、福岡市内の大手ホテルなどとの競合や、ブライダル様式の変化などによって、披露宴や宴会などの利用者数は年々減少。「20年12月期の年間収入高は約3億3000万円に落ち込み、当期純損失約1億8000万円を計上し、約1億9000万円の債務超過となっていた」(帝国データバンク)。
こうしたなか、新型コロナの影響によって宴会や婚礼のキャンセルが相次ぎ、国からの助成金や銀行融資では十分な資金を賄えず、事業の継続が困難となっていた。21年4月に新設した萃香園へ事業を譲渡し、同社は21年9月30日に開いた株主総会の決議により、解散していた。
なお、萃香園ホテルは現在も営業が行われている。