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〈旬刊旅行新聞10月21日号コラム〉――九州トリップ 個性溢れる1つの島「アイランド九州」

2023年10月21日
編集部:増田 剛

2023年10月21日(土) 配信

 神奈川から実家のある北九州に向かうときには、新幹線を利用することが圧倒的に多い。新横浜駅から小倉駅までおよそ4時間半の鉄道旅になるが、長い日本列島を鉄道で南下する気分は悪くない。名古屋、京都、新大阪、新神戸まではビジネス客を中心に満席状態が多いが、岡山を過ぎて、福山や広島で大多数が降りる。その後、新山口で停まることもあるが、車内に残されたまばらな乗客は小倉か博多で降りる人たちである。

 

 周りを見渡せば、空席が目立ち、それまで漂っていた緊張感はまったく失せ、リラックス状態の極みになる。この有り様が何とも好きだ。下関から長いトンネルに入り、車窓が明るくなると、そこは既に九州であり、小倉の街並みが見えてくる。ホームに降りると、のどかな雰囲気が漂う。発車予告音「銀河鉄道999」のメロディーが流れ、新幹線は終着駅の博多に向かって動き出す。

 

 

 東海旅客鉄道(JR東海)は「のぞみ号」「ひかり号」での車内ワゴン販売サービスを10月末で終了するとのことで、おそらく最後となる車内ワゴン販売サービスを目に焼き付けた。

 

 10年後に生まれてくる子供たちに、「昔の新幹線はワゴン車にお弁当やお菓子、ビールやジュースなどをいっぱい載せて、何度も何度も売りに来てくれていたんだよ」と説明しても、理解してもらえないかもしれない。ワゴン販売は旅情を掻き立てる1つだが、時代とともに無くなっていくのだ。

 

 

 かく言う私も、お弁当は駅構内のショップで買うことの方が多い。新横浜駅では、崎陽軒のシウマイ弁当と缶ビールを何本か買い込む。シウマイや鮪の漬け焼き、筍煮などをつまみに、窓の外を眺めながらちびちびと一杯やるのがいい。

 

 小倉駅から新幹線に乗るときには、博多松栄軒の「KYUSHU TRIP(九州トリップ)弁当」と決めている。9マスに仕切られ、九州各県の名物が詰まっている。

 

 弁当を開けると、華やかだ。蓋の裏側には中身の説明があり、それを眺めながら食べると美味しさが一層増す。(上段左から)①【長崎】角煮、玉子焼き②【宮崎】鶏の炭火焼き③【福岡】福鯖、【熊本】高菜、(中段左から)④【福岡】かしわ飯⑤【佐賀】佐賀牛めし⑥【福岡】辛子明太子、白飯、(下段左から)⑦【鹿児島】黒豚焼売⑧【熊本】馬肉コロッケ⑨【沖縄】ゴーヤのフライ、【大分】とり天――という豪華ラインナップだ。

 

 どうだろうか。九州各県の食べたいものが勢ぞろいして1250円とは、随分良心的だと思う。そして、このなかに沖縄のゴーヤのフライが入っているのが微笑ましくてうれしい。

 

 

 今回の旅では、北九州から大分県・深耶馬渓、そして熊本県・小国町の鍋ケ滝、佐賀県鹿島市の祐徳稲荷神社などに立ち寄り、長崎県の雲仙温泉で宿泊。翌朝は島原市の原城跡を訪れ、そのまま熊本県天草市まで約30分の航路を島鉄フェリーで渡った。天草市では馴染み深い幾つかの教会巡りをして、その後、福岡県久留米市内で久留米ラーメンを食べて宿泊した。

 

 有明海を一周するルートで、時間的に宮崎県と鹿児島県を訪れることはできなかったが、九州は個性溢れる1つの島「アイランド九州」という、私の好きな言葉がぴったりとくる旅であった。

(編集長・増田 剛)

 

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