【特集 No.645】飯島町タウンプロモーション 先端技術を導入したまちづくり
2023年10月21日(土) 配信
長野県上伊那郡飯島町の任意団体「飯島町タウンプロモーション(ITP)」(久保島巖理事長)は9月22日、「ふるさとオンリーワンのまち」第12号認定を受けた。ITPが目指す「小さな田舎町に先進技術を取り入れた新しいまちづくり」が加速的に進んでおり、ITP理事の宮下勝至氏と、アドバイザーの下平英樹氏、NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長の津田令子氏が、住民サービスの底上げやこれからの方向性など語り合った。司会は本紙の石井貞德社長が務めた。
【増田 剛】
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――「ふるさとオンリーワンのまち」第12号認定を受けて。
宮下:このたび飯島町タウンプロモーション(ITP)の活動「小さな田舎町でITを活用したプロモーション」を、「ふるさとオンリーワンのまち」第12号に認定いただきまして、ITPの久保島理事長をはじめ、7人のメンバーにとって、とても励みになります。
「さらなる進化をしていかなくては」との思いが一層強くなりました。
NPO法人ふるさとオンリーワンのまちの津田理事長とは、飯島町観光協会からのつながりで、さまざまな活動や情報発信の面でもご助言をいただき、感謝しています。
任意団体であるITPは、「小さな田舎町に先端技術を取り入れた新しいまちづくり」を目指して、2021年4月に創設しました。高齢者へのコミュニケーション支援や、病児・病後児保育施設「おひさまハウス」の予約システム構築など、人口約9千人の山間地であっても、IT化、DX化に向けた支援を進めていく団体として活動しています。
津田:飯島町との関わりは25年にも及び、これまで50回以上訪れています。当初は「山間地ののどかな田舎町」という印象でしたが、足を運ぶたびに進化され、とくにこの3年はコロナ禍にも関わらず、進化のスピードが大幅に加速しているのではないでしょうか。町役場にも頼らず、「自分たちが飯島町のIT化を牽引するのだ」という気迫が強く感じられます。
設立から3年間、活動をずっと応援してきましたが、ITPが掲げる「小さな田舎町でもココまでできる」ではなく、既に「小さな町でもココまでできた」という実績を高く評価したいと思っています。
自然が豊か、景色がきれいというだけでは、移住や定住は難しい。やはり安心・安全を感じられることが、これからのまちづくりではとても大切な要素になります。
その点で、病児・病後児保育施設「おひさまハウス」の運営を担い、安心感を高められたことは大きな地域貢献であり、ITPの久保島理事長をはじめ、宮下理事、アドバイザーの下平さんの活動に対する地域住民の期待も大きくなっているのではないかと思います。
――高齢化が進む町でIT化への変革は、大変なご苦労があったのではないでしょうか。
宮下:高齢者のコミュニケーションというところでは、簡易的な携帯電話すら持っていない方が大部分でしたが、タブレット端末「iPad」を触ってみる体験イベントを開いたところ、高齢者の皆さんに興味を持っていただき、その後スマートフォンを活用する人たちも増えてきました。
スマホ片手にネットショッピングを楽しんだり、遠方のお孫さんとSNSで交流したり、コミュニケーションの幅が格段に広がり、元気で活力のある生活につながっていることを感じます。
「おひさまハウス」の予約システム構築では、子供が病気になっても保護者はなかなか仕事を休めない環境で、ストレスなく子供を預かってもらえる施設があることは、津田さんがおっしゃったように地域住民の「安心・安全」の拠り所となります。
夜中に電話がつながらなくても、スマホから「翌朝に子供を預ける」予約ができます。施設の運営側も事前に状況が分かるために、シフトなどスタッフのオペレーションがスムーズになり、利便性と効率性が飛躍的に上がっています。
津田:ITPの活動が常に進化し続けている、その原動力となっているのは、「LINE WORKS(ラインワークス)」のアンバサダーに就任されている下平さんの存在が大きいですね。
下平:ありがとうございます。「おひさまハウス」は22年5月に、国内最大のコミュニケーションアプリ「LINE」と操作が一緒で、さらにさまざまな情報共有やデータ管理も可能なラインワークスを導入し、予約システムでは、そのラインワークス内で予約できる外部連携アプリの「チャットbot(ボット)」を構築しました。
多くの病児・病後児保育施設では、児童を預ける当日に予約の電話が集中します。このため、電話がつながりづらかったり、予約が取れなかったり、保護者は大きな不安を抱えてしまいます。一方、施設側も当日の受け入れ児童数が確定したあとに保育スタッフの手配を行わなければならないという課題があります。
私たちが構築した予約システムでは、……
【全文は、本紙1918号または10月26日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】