商船三井とJTBがクルーズ市場拡大に向け協定 寄港地観光拡大や訪日客取り込みを
2023年11月13日(月) 配信
2024年は第2のクルーズ元年――。商船三井クルーズとJTBは11月10日(金)、クルーズ市場の拡大に向けた連携協定を結んだ。両社は新たなクルーズの体験価値を提供するため、寄港地観光を拡大することや、新たな市場の掘り起こしとして、訪日観光客の取り込みなどを行う。同日に開いた会見で商船三井クルーズの上野友督社長は「日本のクルーズ市場に新しい風を吹かせていきたい」と意気込んだ。
日本のクルーズ市場は、1989年に商船三井客船「ふじ丸」が日本初のクルーズ客船として就航したことからこの年を「クルーズ元年」とし、2019年にクルーズ人口は過去最高の約35万人を記録した。2024年は商船三井が新造船「MITSUI OCEAN FUJI」を投入し、25年以降も数船の新造船就航が予定されていることから、第2のクルーズ元年と位置付ける。
クルーズ事業を特定重点マーケットと位置付けるJTBは今後、日本のクルーズ市場は約3倍の100万人規模まで伸びるポテンシャルがあると睨む。同社はクルーズ商品の販売だけでなく、着地事業やインバウンドへの取り組みで事業領域を拡大していきたい考え。同社の花坂隆之専務執行役員は「裾野を拡大したい。クルーズというと富裕層のイメージだが、若い世代にも挑戦してもらうため、ショートクルーズやワーケーションなどを用意し、気軽に乗ってもらえるようにしたい」と語った。
これまでも両社は協業して商品開発などを行ってきたが、さらなる市場拡大のため、連携協定を締結した。第1弾として、商船三井クルーズが24年12月就航予定のスモールラグジュアリークルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」をJTBが全船チャーターし、25年1月に「JTB南米ワールドクルーズ91日間」を実施する。
南米航路は商船三井グループの歴史の始まりの航路であることや、JTBの世界一周チャータークルーズ参加者のアンケートで約30%が南米方面を希望していたことなどから、コロナ禍明けの新しい船出にふさわしいデスティネーションと判断した。大型クルーズ船では寄港できない港への入港や寄港地受入体制の質の担保など、「MITSUI OCEAN FUJI」の特性を生かした航路で14カ国・2地域で19の港を巡る。
12月上旬から全国10都市で説明会を開催する予定で、早期申込割引料金も設定する。旅行期間は25年1月9日(木)~4月9日(水)、通常の旅行代金は2人1室利用の横浜港発着で620万円~2850万円。