受入体制や地方創生など、西村副大臣が計画を解説
観光立国実現に向けたアクション・プログラム
6月5日の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」の決定にともない、国土交通省の西村明宏副大臣が6月16日に会見を開き、計画改訂のポイントを解説した。「2千万人時代の早期実現への備え」「地方創生への貢献」「観光を日本の基幹産業へ」を重点に挙げ、訪日客2千万人到達時には4兆円の消費額を目指す。
同アクション・プログラムは首相からの指示で毎年改定していく長期的な国の観光ビジョン。国土交通副大臣を座長に、関係府省庁の副大臣と政務官を主な構成員とする観光立国ワーキングチームが改定作業を行い、首相が主宰する観光立国推進閣僚会議でプログラムが決定する。
「2千万人時代の早期実現への備え」について西村副大臣は「訪日客2千万人達成が前倒しで実現する可能性が高まり、訪日客の受入体制が遅れている」と述べ、空港・港湾のCIQ体制の強化や宿泊施設・貸切バスの確保、無料Wi―Fiや言語対応の拡充の必要性があるとした。
「地方創生への貢献」については、地域をマーケティング、マネジメントする着地型組織(Destination marketing /management organization=DMO)を確立し、地域の関係者が一体となって観光資源を磨き上げ雇用を生み出し、観光の力で地方創生に貢献する取り組みを進める。それにともない、道の駅の観光拠点機能強化や広域観光周遊ルートの形成、情報発信を支援していく。
「観光を日本の基幹産業へ」では、免税店の拡大や旅行商品の拡充を進めていく。免税店は都心部に比べて地方部に少ないため、2020年には全国2万店規模にまで拡大する予定。
また、質の高い日本文化・歴史の体験プログラムの提供で滞在期間の長期化をはかり、消費活動を活発化させる策についても触れた。
とくに早急に取り掛かる事項としては、訪日客の受入体制面での空港関係の整備を挙げた。「空港自体がボトルネックになってはいけない。CIQ体制を整えて、拠点空港だけでなく、全国の空港に就航させたい。飛行機で茨城に入り、水戸や日光を観光し、東京から帰る。もしくは静岡に立ち寄って富士山を見て近くの空港から帰るなど、地方との連携を考えれば受入体制も充実できるのではないかと思う」と意見を述べた。
翌日17日の観光庁長官会見でも久保成人長官が西村副大臣と同様に3点をアクション・プランの重要な改定ポイントとして挙げた。また、地方に向けた観光政策として「LCCや高速バスの利用促進で新たな旅行需要を生み出し、地域の交流人口拡大をはかっていきたい」と述べた。
(そのほかの西村副大臣会見の詳細は次号掲載予定)