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国内外のファン創出へ 魅力掛け合わせ 体感ツーリズム造成(久慈市)

2023年11月13日
営業部:後藤 文昭

2023年11月13日(月) 配信

小袖海岸の夫婦岩

 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の再放送で再び注目を集める岩手県久慈市で9月28~29日、モニターツアーが行われた。市が注力する「ロケツーリズム」と、取り組みが加速する「脱炭素」、2つの切り口でまちを紹介。「久慈市ファン」づくりに欠かせないまちの魅力が詰まった体感コンテンツ造成に向け、旅行者目線の声を収集した。加えて、「あまちゃん」をきっかけにまちを知った外国人の誘客を目指し、コンテンツの磨き上げに必要な情報を集約した。

◇  ◇

 モニターツアー初日は、三陸鉄道久慈駅周辺と小袖海岸を市内在住の貫牛利一氏の案内で巡る「あまちゃん」のロケ地ツアーで幕を開けた。ドラマで三陸鉄道久慈駅は駅舎外観が北三陸駅として使われ、ホームでは列車の開通式のシーンなどが撮影された。

久慈デパートとロケ地看板

 駅周辺には観光協会がある設定で登場した「久慈駅前ビル」や「あまちゃん」で使われた衣装やジオラマも見ることができる「久慈市情報交流センター YOMUNOSU」などもあり、作品の空気感に浸りながら、散策を楽しむことができる。

あまちゃんのロケ地を見学

 一方、主人公らが歩いた坂道や、オープニングでも毎回登場する白い灯台などドラマで見た風景が広がる小袖海女センター周辺では、美しい三陸の海の景観を堪能した。

 海のイメージが強い久慈市は、世界有数の「琥珀」の産地でもあり、約9千万年前の琥珀を宝飾品などに加工して利用している。

 「上山琥珀工芸」では、ドラマで琥珀採掘指導を行った上山昭彦氏が、坑道内の見学と琥珀アクセサリーの製作体験を行っている。見学する坑道は実際にロケが行われた場所で、上山氏が久慈琥珀の魅力と歴史、あまちゃんロケのようすなどを解説する。

先行地域の脱炭素事業を学ぶ

 2日目は、久慈市の新たな取り組みを視察した。「久慈地下水族科学館もぐらんぴあ」では、バックヤードツアーを体験。モニターツアー参加者の意見を参考に、一般向けプログラムとして内容を磨き上げるという。

 また同館が久慈国家石油備蓄基地建設時の作業用トンネルを利用した施設であることから、市の石油備蓄に関しても理解を深めた。

 「久慈バイオマスエネルギー」では、「脱炭素」の取り組みを学んだ。「脱炭素」は市が注力する取り組みのひとつで、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目標に政策を展開。22年には、環境省からカーボンニュートラルの取り組みを先行して進めるモデル地域「脱炭素先行地域」に選定されており、山形町エリアを対象地域に太陽光発電や木質バイオマスを活用した熱電併給システムの導入などの施策を計画している。

バイオマス熱利用の仕組みを学ぶ

 今回訪れた施設では、市内で出た製材時の端材や樹皮などを乾燥、燃焼させ、シイタケを栽培するハウスに熱を供給。余剰熱で製造した乾燥チップは温水プールや宿泊施設などで活用している。

まめぶづくり

 2日間にわたり久慈市の魅力を堪能したモニターツアーは、「まめぶ」づくりで締めくくられた。黒糖とクルミの入った小麦粉団子「まめぶ」を豆腐や揚げなどと一緒に醤油味の汁で煮込む伝統料理。まめぶの甘さと汁のしょっぱさが交互に楽しめる不思議な味が癖になる一品で、山形町エリアでハレの日に食べられていた。
 もともと久慈市内でもあまり知られていなかったが、ドラマで取り上げられたことで市内外の人々に浸透し、今では道の駅や市内飲食店で気軽に味わえる。

 一般参加者に加え、韓国の旅行会社2社も参加し、旅行商品造成に向け久慈の魅力を視察した今回のモニターツアー。

 参加者からは、「人が優しくて、食べ物もおいしくて、大満足です」「自然が豊かで、癒されるまち。まめぶの味が気に入ったので、家でもつくってみたい」「住んでいる人にも、あまちゃんに関わった人にも愛されているまちだと改めて感じた。バイオマス熱利用の取り組みを通じて、エネルギー問題も学ぶことができた」「田舎のまち特有の温かさがあり、日本でも珍しい水族館やバイオマス熱利用の施設などここならではの体験も多いのが魅力だと感じた」などの声が聞かれた。

 モニターツアー終了後、久慈市役所経済産業部商工観光課観光物産係の安堵城隼一主査は、「『あまちゃん』に登場する北限の海女やまめぶなどの観光資源を生かしたモデルツアーを実施し、従来からのあまちゃんファンのみならず、あまちゃんを知らない方や海外の方からとても喜んでいただいたと感じた。モニターツアーから得られた情報をもとに、さらなるコンテンツの磨き上げを行い、新たなプログラムを造成。『あまちゃんのファン』から『久慈市のファン』を生み出すことで、国内外の観光誘客・リピーターをつくり、地元活性の起爆剤としたい」と総括した。

 今回のモニターツアーは観光庁の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の支援を受け、地域活性プランニングが企画・監修プロデュースし、コンテンツ造成とツアー実施は、日本旅行東北が担った。

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