日本バス協会、危機突破の総決起大会 逢沢バス議連会長「来年度から実勢コストに」
2023年11月14日(火)配信
日本バス協会(清水一郎会長)は11月8日(水)、東京・永田町の自由民主党本部で「バス危機突破総決起大会」を開き、バス事業が持続的なサービス提供を行うため、政府に抜本的な支援強化を求める決議を行った。昨年に続く、バス業界単独での決起大会。自民党バス議員連盟の逢沢一郎会長は、最大の課題である補助金算出の制度について「来年度から実勢コストで対応する」見通しが立ったと明らかにした。
同協会と自民党バス議員連盟が共同で決議した政府への要望は、①「地域ブロック平均単価」を「実勢コスト」に②人手不足対策、外国人運転者制度の実現③EV(電気自動車)バス補助金の大幅増額④キャッシュレス化の加速――の4点。バス事業がコロナ禍での人流抑制に加え、燃料高、人手不足にも直面し、危機的状況にあるほか、全国各地で減便や路線廃止が顕在化して、まさに瀬戸際の状況と訴えた。
主催者代表の清水会長は、人手不足の解決に向けて「賃金を上げて雇用環境を改善していくしかない。そのためには運賃を上げて、運賃収入を増やしていくしか賃上げの原資がない。皆さんからの支援をお願いしたい」と強く呼び掛けた。
続けて、今年最大の課題は「地域ブロック平均単価から実勢コストに」と強調。バス路線を維持していくために「実際のコストで支援していただかないと路線は維持できない。実勢コストでの支援が来年度の制度改正の目玉なので、支援をお願いする」と求めた。
EVバスに関しては、「2030年に1万台を掲げており、いま国のEVバスの補助金は100億円。これを大幅に増やしていただきたい」。このうえで「その先にあるのが自動運転。本格的にやれるような支援を進めてほしい」と切望した。
キャッシュレス化について、乗合バスの運賃箱回収の手間や、銀行での小銭の両替手数料がかかるなどの現状を説明。一例として「現金とキャッシュレスで運賃に差を設けるなど、キャッシュレスへ誘導してほしい」と述べ、バス事業のキャッシュレス化を「2030年を目標に加速していきたい」と語った。
逢沢バス議連会長は「バス議連の役員と国土交通省との相談の会で、財務省、総務省の方にも陪席いただき、地域ブロック平均単価で対応するのは今年度限りと確認した」と報告。「制度設計をしっかりやりながら、実勢コストで来年度から対応する」と約束した。
当日は自民党の森山裕総務会長、萩生田光一政調会長、國場幸之助副国土交通大臣、盛山正仁文部科学大臣が登壇してあいさつ。京浜急行バスの鈴木徹三崎営業所長、女性バス運転手協会の中嶋美恵代表理事が現場の声を伝えた。
最後に大会決議を、堀内詔子バス議連事務局次長が読み上げ、清水会長のガンバローコールで締め括った。