国立公園の認知拡大へ 生業にする人の声で魅力発信(ネイチャーホスピタリティ協会)
2023年11月24日(金) 配信
環境省は、国立公園での高付加価値の滞在型観光の推進へ動き出した。一方、日本に34カ所ある国立公園は、認知度が低いことが課題となっている。
同省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を締結、講座と検定試験を通じて国立公園の魅力を発信するネイチャーホスピタリティ協会の小川正人理事長は、国立公園の魅力発信には「自然を生業にしている方の生の声を通じての発信が大切」と語る。同協会が進める魅力発信事業をまとめる。
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日本の国立公園は、国有地以外の土地も含めて指定する地域制国立公園に分類されるので、人と暮らし、風景、自然がそこにはあります。一方で、国立公園の認知度は国内の人でも低く、観光素材として活用しにくいモノになっていると思います。
ネイチャーホスピタリティ協会は、国立公園の認知拡大に向けた魅力発信のために、2020年9月に設立しました。同協会の基軸は、10回のオンライン講座と検定試験をセットにした「ナショナルパーク検定」で、2カ所の国立公園を対比させながら、年2回実施しています。
この検定でこだわったことは、各地の自然ガイドや生産者など、自然を生業にしている方々の生の声を通じ、魅力を伝えていくことです。この部分は過去3回実施した検定でもとくに受講者の満足度が高く、今後もう少しコマ数の比率を高めることも検討しています。
併せて、実際に現地を訪れて、五感で国立公園の魅力を学んでいただけるような研修会も実施したいと思っています。
協会設立後には、環境省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を締結し、美しい景観と滞在する魅力の発信や利用者の拡大、自然環境の保全への理解を深め、国立公園の所在する地域の活性化につなげるための取り組みを環境省とも一体となって進めています。
一方で、国立公園の魅力を多くの方に知っていただくには、実際に現地に出掛け、素晴らしさを体感いただくことも不可欠です。この部分に関しては、会員企業の皆様と一体となり、コラボレーション企画などを行うなどし、機会を創出していきます。
またこの協会は、ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構と対になって運営しているので、今後は同機構の立ち上げから7年かけ蓄積してきた知見を生かすことで、国立公園を訪れていただく多くのきっかけが提供できるとも考えています。
例えば、各国立公園での特別なONSEN・ガストロノミーイベントの開催や、会員制度サービス「ONSEN騎士団」を通じた情報発信などを行うことで、ON・ガスイベントに参加されている皆さんが開催地の魅力を再発見してくださっているように、国立公園の魅力を発見していただける機会につなげていただけると思います。
今回新しく協会を立ち上げ、検定の実施のために各地を巡り、改めて日本の自然の素晴らしさを実感しました。そして国立公園には、その場所の魅力を語れるガイドが不可欠であるということを再認識しました。
我われが行う検定試験は、地域の発展に必要な知識を深めていただき、ナショナルパークアウトフィッターとして活躍して下さる人を育てることも目的です。今後検定を通じ国立公園の魅力を発信するとともに、各地域で自然を生かし地域を活性化する役割を担う人材をしっかり育てていきます。
――ありがとうございました。