「国内は順調に推移」、海外旅行は1つの区切り(JATA・田川会長)
日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長は7月1日、JATA本部で会見を開き、現況の市場動向や先般、観光庁に提出した政策提言のポイントなどを語った。国内市場については、「各社の数字を見ると順調に推移している」とした。
国内旅行は、北陸新幹線の開業で東京―大阪間に新たな流れができはじめていることや、9月のシルバーウイークなど好材料があることから「8月、9月は流れがいい」と感触を語った。一方で、東北への送客はまだ十分ではないとし、今後も東北の宿泊旅行拡大に取り組んでいく方針を示した。
訪日旅行は「フォローの風が吹き、絶好調。円安やビザの緩和、免税拡大など今後も中国を中心に東アジアからの訪日が拡大するだろう」とし、今年は2千万人に近づくと予測。旅行業界としての取り扱いは小さいが、宿泊業や飲食店をはじめ、波及の裾野が広く、日本経済への影響は大きいことを強調した。
喫緊の課題となっている海外旅行は「6月期の市場動向でも震災後で最も厳しい数字。シルバーウイークを除くと夏も数字が上がっていない」と報告した。現況の数字は円安や社会情勢などの要因が影響しているが、さらに大きな観点から「海外旅行自由化から50年が経ち、1つの区切りがつき始めているのではないか」と持論を展開。「海外旅行をする意味を含めて、次の時代の海外旅行を考えていかなければならない。価値創造にしっかり対応していく」と述べた。
提言のなかでは、国際化による地方創生やクルーズ施設の整備、休暇制度の普及、安心・安全な旅の推進をポイントにあげ、「今年度は提言の実現に向け着実に前に進んでいく。想定外のことが起きることを予測しながら取り組んでいく」と意気込みを語った。