【特集No.648】日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2023 時代の変化に対応する新たな挑戦
2023年12月1日(金)配信
旅行新聞新社(石井貞德社長)は12月1日、取材活動などを通じて見聞きした今年の観光業界の取り組みの中から、創意工夫の見られるものを独自に選び、表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2023」を選出した。同賞は2021年に創設し、今年が3回目の発表となる。グランプリは、旅館業のほか事業の多角化で地元の観光を盛り上げる「古窯グループ」(山形県)を選んだ。優秀賞には「鹿児島県旅行業協同組合」(鹿児島県)と、「リッツMC」(東京都)を選出した。各賞の時代の変化に対応する新たな試みや挑戦を紹介する。
□事業の多角化を推進、地元観光需要の活性化に
日本ツーリズム・オブ・ザイヤー2023のグランプリに輝いた「古窯グループ」(古窯ホールディングス、佐藤太一代表取締役専務、山形県上山市)は旅館業をはじめ、レストラン業やグランピング施設運営など、事業の多角化を推進している。旅館業という枠を超えた企業として採用活動を展開し、働き方改革などの取り組みだけでは厳しいなかで、新卒採用の実績も伸ばしている。
古窯グループの宿泊施設は長年、創業1951年の老舗旅館「日本の宿 古窯」(山形県・かみのやま温泉)の1軒のみだった。そこから2007年、山形県・黒沢温泉の厚生年金保養所を取得し、翌年に36室の旅館「悠湯の郷ゆさ」を開業。16年にはかみのやま温泉にある民間企業保養所を入札取得し、14室の「おやど森の音」を開業した。
いずれも30代を主なターゲットとした小規模旅館として展開。これら小規模な施設取得による成功体験の積み重ねと、経営を順調に軌道に乗せられたことが弾みとなり、19年には創業350年の歴史を誇る老舗旅館「萬国屋」(山形県・あつみ温泉)の事業を承継した。
引き受けに際しては、全従業員を継続雇用し、旧来の社内制度・人事評価を維持することで、従業員が安心して働ける環境を構築した。
18年9月に各事業会社を傘下に置くホールディングス体制へ移行し、同年11月にプリン専門店「山形プリン」を出店するなど事業の多角化を加速させた。
これら取り組みの根底には、山形に根差した企業として、山形の観光を盛り上げたいという考えや、地元の雇用を守るためにも時代の変化に対応していこうとする宿の試みが強く感じられる。
事業の多角化により、20年12月に……
【全文は、本紙1922号または12月7日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】