不正根絶へ、有識者委員会を設置 再発防止策取りまとめは年度末を予定(JATA)
2023年12月7日(木) 配信
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は12月7日(木)、定例会見を行った。11月に発生した同協会会員5社による談合疑いなど、度重なる不祥事を踏まえて、外部有識者による「旅行業界におけるコンプライアンス徹底に係る有識者委員会」を設置することを発表した。髙橋会長は、「有識者から指摘を受け、再発防止策の早急な取りまとめと、不正の根絶を目指し、業界の信頼回復に努める」と述べた。
新型コロナ禍以降の旅行業界では、雇用調整助成金の不正受給や、Go Toトラベル事業・全国旅行支援などの政府の支援に関わる不正受給、自治体の受託業務に関わる過大請求など、複数の不正事案が発生した。
これらの事案を受けてJATAは、観光庁の指示のもと会員各社への総点検や、コンプライアンス手引きの作成、経営者向けのコンプライアンス研修、職員向けのeラーニングなど、再発防止に向けたさまざまな取り組みを実施してきた。
こうしたなか、2023年11月、青森市の新型コロナ患者の移送業務の入札について、談合の疑いがあるとして、JATA会員企業5社に公正取引委員会が立ち入る事案が発生した。
髙橋会長は、「度重なる不正が発覚し、旅行業界全体の信頼を失墜させたことは痛恨の極みである。JATAのこれまでの取り組みが結果として十分でなかったと言わざるを得ず、業界の代表として深く反省し、改めてお詫びを申し上げる」と謝罪した。
さらに、「今後このような不正を未然に防ぐために、有識者委員会の設置を含め、より徹底した組織的な取り組みをしていかなければならない」との考えを示した。
□有識者委員会設置で従前の防止策見直し
JATAはこのほど、観光庁からの指導を受け、外部の有識者による委員会を設置する。
委員会では、①会員会社で行う総点検にあたって留意すべき事項②点検結果や調査報告書などからわかる原因の分析③JATAによる今後の再発防止策についての評価や改訂──を検討する。
蝦名邦晴理事長は、「委員会の再発防止策の提案を受けながら、会員各社の協力を得て、速やかに再発防止策を実施していく。二度と不正事案が発生しないように全力を尽くしていく」と力を込めた。
委員長は、元東京地検特捜部長を務めた弁護士の五十嵐紀男氏。委員には、山田秀雄氏(弁護士)、樫谷隆夫氏(公認会計士)、中村葉志生氏(企業倫理・コンプライアンスに係るコンサルタント)、ほか日本経営倫理学会元副会長の大学教授──などが参加する予定だ。
12月中に第1回会合を立ち上げ、遅くとも24年3月末までに再発防止策を取りまとめる考え。
また、当面の対策として、12月8日(金)からコンプライアンス内部通報相談窓口を設置する。