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東洋大・島川ゼミ院生が日本秘湯を守る会に提案、若者へのアンケートをもとに

島川ゼミ院生が「日本秘湯を守る会」にさまざまな提案を行った
島川ゼミ院生が「日本秘湯を守る会」にさまざまな提案を行った

 「日本秘湯を守る会」と連携してさまざまな研究を行っている東洋大学大学院国際観光学専攻の島川崇ゼミは7月11日、ゼミ生が3つのチームに分かれ、日本秘湯を守る会へ若者の視点からさまざまな提案を行った。

 同ゼミで行った10―20代前半のアンケートでは、「日本秘湯を守る会」の温泉旅館を知っている人の割合は4人に1人、「利用したことがある」割合は30人に1人と、残念ながら若者への認知度は低い結果となった。

 また、「温泉旅館に宿泊するなら、1泊2食でいくらまで払えるか」の問いでは、回答の平均値が約1万5千円となり、日本秘湯を守る会の会員宿178軒の平均価格帯と合致していることもわかった。さらに、秘湯の温泉旅館のイメージとして、プラス要素は「自然に囲まれている」が圧倒的に多い一方で、マイナス要素としては「交通の便が悪い」「電波が圏外」「おじいさん、おばあさんが行くところ」などの意見が多くあった。

 同ゼミの若者チームは「温泉旅館は高齢者が多く訪れるが、若い世代の利用者が少ないイメージがある」というアンケートの結果に対し、若者と温泉旅館を結び付ける可能性を検討した。その結果、若者にとってのメリットは、「非日常の体験ができる」「日本文化を再発見し、味わえる」などが考えられる反面、デメリットとしては「都市観光と比較してレジャーが少なく退屈」な面も指摘した。

 旅館にとって若者と結びつくメリットとしては「口コミの拡散によって、新規利用者やリピーターの獲得が期待できる」「旅館業の担い手も増加する」「若者とのコミュニケーションを通じて、時代に合った旅館に成長するためのヒントが得られる」などがある一方、「若者を受け入れることでにぎやかになり、旅館の雰囲気が崩れる」などトラブルが生じるリスクもデメリットとして挙がった。

 結論としては、「経済的には若者の顧客獲得のために大幅な値下げを行う必要がない」ほか、若者も秘湯の温泉旅館を利用して楽しみたいという意向がある一方で、認知度が低いため(古い、交通が不便、電波が圏外など)マイナスのイメージが先行していることを踏まえ、「このマイナスのイメージを解消していけば若者世代に温泉旅館の利用促進が促せられるのでは」と提案した。

 ホームページについても、理念などを掲げる「非ビジネスサイト」と、宿泊予約を主目的とした「ビジネスサイト」の両方の特徴を持っている同会のトップページについて、レイアウトの工夫などを提案したほか、写真の多用、グーグルマップなどの活用に加え、「各宿の温泉の良質さや効能をもっと強くアピールしては?」など、色々なアイデアが出された。

 日本秘湯を守る会の佐藤好億名誉会長は、秘湯の宿にとって温泉がどれほど大きな意味を持っているかをゼミ生たちに語ったほか、「情報をあまり与え過ぎないことがかえって旅情を誘うことなどもある」としたうえで、「大変参考になる提言をいただき、感謝している。ぜひ若い人たちが私たちに考えてくれたアイデアや意見を積極的に取り入れていきたい」と謝意を述べた。

 今後、島川ゼミと日本秘湯を守る会は、より深く連携していき、人材育成や地域文化の育成などの観点から、秘湯の宿に関心を持つ学生には実際に現場を任せるといったことも検討していく予定だ。

【増田 剛】

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