“迷惑客”の宿泊拒否が可能となる「改正旅行業法」 12月13日(水)に施行 「適切な宿泊サービスへ研修も」
2023年12月14日(木) 配信
カスタマーハラスメントに当たる“迷惑客”の宿泊拒否が可能となる改正旅行業法が12月13日(水)、施行された。「宿泊者も従業員も、誰もが気持ちよく過ごせる宿泊施設に」という思いが込められている。
不当な割引や、契約に無い送迎、過剰なサービスの要求に加え、対面や電話で長時間にわたり不当な要求する行為など、「要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が不相当なもの」(厚生労働省)が対象となる。暴行や傷害、脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、土下座の強要などが当てはまる。
一方、障害のある方が、社会の中にある障壁(バリア)の除去を求める場合は、新たな拒否事由に該当しない。具体的には、フロントなどで筆談でのコミュニケーションを求めることや、車いす利用者がベッドに移動する際に介助を求めるケースなどとしている。
感染防止対策の充実では、特定感染症(1類、2類、新型インフルエンザ、指定感染症および新感染症など)が国内で発生している期間に限り、旅館業の営業者は、宿泊者に対し、その症状の有無などに応じて、感染防止に必要な協力を求めることができる。
一方、既存の宿泊拒否事由の1つである「伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」は、「特定感染症の患者等であるとき」と明確化された。
宿泊者名簿の記載事項では、「連絡先」が追加され、「職業」が削除された。
さらに、差別防止のさらなる徹底や、みだりに宿泊を拒むことがないように、営業者は配慮を要する宿泊客への適切な宿泊サービスの提供のため、従業者に対して必要な研修の機会を与える努力義務が示された。宿泊を拒んだときには、その理由の丁寧な説明や記録を残すことなども定められた。