【西村明宏国土交通副大臣に聞く】旅館が“一極集中”緩和、雪で広域ルート可能性も
西村明宏国土交通副大臣が6月16日に開いた記者会見(7月1日号既報)で、西村副大臣は今年度の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」で掲げる2千万人時代への備えの強化について説明した。また、同件に関連して、旅館の活用による宿泊施設の都市一極集中緩和やスノーリゾートの広域観光ルート化の可能性などについても意見を述べた。
インタビュー内容は次のとおり。
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――宿泊客の都市一極集中問題について。
東京や大阪など都市部にあるホテル客室の年間稼働率はすでに80%を超えており、集中を地方に広げることが求められているが、そのほかにも都市部の旅館が活用できることにも注目したい。ホテル客室稼働率は東京で84・2%、大阪で86・7%と非常に高いが、旅館になると東京で41・8%、大阪が39・7%となっている。今後は旅館の魅力を発信し、宿泊整備を進めたい。
――旅館業法が適用されない「宿泊マッチングサービス」について。
このまま既成事実として広がっていくのはいかがなものかと思う。衛生面や安全面、防犯面で問題になる可能性もあるため、最低限のラインを設ける必要がある。基準を設けることは宿泊希望者のニーズに合わせた選択肢を作ることにもなる。
――「スノーリゾート」をテーマとした広域観光周遊ルート案について。
スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会を立ち上げ、新たな観光ルート化を目指している。外国人に日本での観光目的を聞くと「買い物」と「食べ物」が多いが、それ以外では「スノーリゾート」がトップに出ており、とくに中国・韓国・台湾で人気がある。東京・大阪圏以外の地方の集客の力になる。
――東北方面の観光について。
被災地復興が進み、インフラ整備が整った地域では仕事が無くなり、働き手が離れている。若者は市街地に移ってしまい、沿岸部にはお年寄りが残されている。地域の魅力を発信し、仕事を生みだし、また人々を定着させたい。