静岡県「宿泊業新規雇用支援事業」 吉奈温泉・東府やで実習生第1号が業務を体験
2023年12月20日(水) 配信
静岡県は人材総合サービスを行うスタッフサービス(阪本耕治社長、東京都千代田区)と連携し、「令和5年度宿泊業新規雇用支援事業」を行っている。同県の宿泊業界で働きたい参加者と、実習参加施設の人材確保につなげる。実習参加者は、ホテル・旅館で実習を行い、実習先企業への正社員採用を目指す。12月16日(土)、静岡県伊豆市・吉奈温泉 東府やResort&Spa─Izuで、1人目の就労がスタートした。
同事業では、2~10日間の実習で、ホテル・旅館で働く魅力を体感し、宿泊業の人手不足の解消や観光人材の育成に取り組むもの。
実習生は、スタッフサービスが提供するe─ラーニングを使って、ホテル・旅館で働くうえで必要なビジネスマナーや知識を事前や実習中に学ぶことができる。実習中は、受入企業と直接雇用契約を結び、フロント業務や接客、清掃などの業務を行う。なお、期間中の給与は、受入企業から参加者へ直接支払われる。なお、実習生の賃金や交通費は支援対象。
福岡県から実習に参加したアンマリ・チョンさんは、「美しい自然風景や富士山を臨める静岡県で働けることは嬉しい。ホテル業に従事することで、知識を強化し、コミュニケーションスキルを磨いていきたい」と意気込みを語った。
チョンさんは、事前にe─ラーニングで安全衛生や情報セキュリティーについて学び、5日間の実習で、レストランサービスやフロント業務、客室清掃などを体験した。
実習内容については、「接客業やホテルの清掃のアルバイト経験があるので、大きなギャップはなくスムーズに仕事ができた。お客様も優しく話し掛けてくださり、会話をするのが楽しい」と笑顔で話した。
チョンさんは中学2年生のとき、フィリピンから日本へ引っ越し、現在は福岡県の大学に通ってフードマネジメントを学んでいる。将来はヨーロッパで自分のカフェを開くのが夢だという。
今回の受入企業である東府やResort&Spa─Izuの岡邦好支配人は、「チョンさんは明るく素直で、礼儀正しいという印象。7か国語を話すマルチリンガルでもあるので、インバウンドのお客様の対応で、戦力になってくれることを期待している」と話した。
同施設では、従来までの長時間業務や中抜けをなくすため、2023年春からマルチタスク制を取り入れている。
岡支配人は、「業界の人材定着のためには、仕組みを変えていくことも必要。企業と働き手のミスマッチをなくすためにも、実習で業務を体験してもらってイメージの醸成につなげ、意欲のある人に入社していただきたい」とした。
静岡県観光政策課の飯田真理主査は、「新型コロナ禍で宿泊業の人手不足が顕著になった。インバウンドが回復してきているなか、県内への旅行客を確実に受け入れ、観光産業の回復を実現したい。このことから、事業者にヒアリングを行い、繁忙期の人手不足対策と人材定着のための新規雇用の2つの面で支援する」考えだ。
同事業を受託したスタッフサービスによると、県内の旅館・ホテル45社が受け入れ先として参加している。実習先が決定しているのは12月18日(月)現在でチョンさんを含め3人。「春休み期間中に実習をしたいと考える学生からの申し込みが増すことを期待している。国内人材・外国人材に限定せず、広く募集している」(スタッフサービス)。
対象地域は、熱海市、伊東市、下田市、賀茂郡東伊豆町、賀茂郡河津町、賀茂郡南伊豆町、賀茂郡、松崎町、賀茂郡西伊豆町、伊豆市、伊豆の国市、沼津市、浜松市西区。
県内外から実習参加者40人を募集する。
契約期間は2024年3月15日(金)まで。実習期間は2月上旬までを予定する。
申し込みは24年1月31日(水)まで。