HIS、中期経営計画を発表 営業利益は26年コロナ前超えへ
2023年12月20日(水) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は12月15日(金)、次期中期経営計画(2024~26年度)を発表した。30年の創業50周年に向けて持続的な成長をはかる。
同計画では、コア領域(旅行業)の変革と新規領域への挑戦を方針に掲げた。そのうえで、グローバルネットワークの活用と生涯顧客の創造、旅行関連事業・非旅行事業の成長、業務効率化、投資、人材戦略に取り組んでいく。これにより、26年度の売上高を19年度比117%の4300億円、営業利益は同103%の180億円を目指す。コロナ禍のような外部環境の変化に備え、安定した経営体制を構築するため、30年度以降に、旅行と非旅行および旅行関連事業の利益構造を1対1にしていく方針だ。
このうち、グローバルネットワークの活用では、利益の60%が日本からの送客となっていた海外拠点において、回復の早いグローバルマーケットを開拓。利益のうち40%を占めていた海外発の商品と新規事業を26年までに60%に拡大する。さらに人以外、物やサービスを流通させる新規事業も始める。
生涯顧客の創造は、同社発行のクレジットカードスカイウォーカーカードの所有者を現在の10万人から60万人に増やすなど日常生活のさまざまなシーンで消費者との接点を増やしていく。また、店舗やオンラインサイトより平均単価が高いため、対応人員を現在の約400人から26年までに1500人に増員する。
業務効率化は、DX推進で業務プロセスを改善。これにより人員を削減し、26年の人件費は19年比で1.2%減を目指す。
旅行関連事業・非旅行事業の成長では、収益性の高いホテル事業を中心に注力。26年までに独自性ある商品プランで客室単価を19年比で12%増の1万5800円に増やしていく。稼働率は19年比で17㌽増の76%を目指す。コロナ禍で新たに始めた飲食事業やBPO事業の拡大も継続する。
より早く業績を回復させるため、需要の戻りが早いヨーロッパとカナダで旅行事業者へのM&Aを行う。さらに、AIや宇宙、ヘルスケアなどへの投資も実施する。
人材戦略では、女性役員の比率を20%まで増やす。さらに、全社でDX教育を展開する。
12月15日(金)に行われた決算会見で、矢田社長は「今までの延長ではなく、事業の収益構造を変え、他社との差別化でHISらしい事業を展開していく」と語った。