125万会員のネットワーク生かす 【日本商工会議所・小林健会頭 2024年年頭所感】
2024年1月6日(土) 配信
日本商工会議所の小林健会頭は1月1日(月)、2024年の年頭所感を発表した。全文は以下の通り。
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明けましておめでとうございます。
2024年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
(時代の転換を図るチャンスの年に)
さて、昨年の経済社会情勢は、内外ともに不透明さと緊迫の度が増した1年でありました。世界ではロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中台間の緊張、イスラエルとパレスチナ武装勢力間の衝突も深刻化するなど地政学リスクが増大する1年となり、国内ではアフターコロナで緩やかに景気が回復するものの、1㌦=150円前後の歴史的水準に達した円安や41年ぶりの上昇率を記録した消費者物価・エネルギー価格の高騰の影響、深刻さを増す人手不足など、依然として厳しい状況にあります。本年も、先行き不透明な状況が続くことは一定程度覚悟しなければなりません。
一方、コロナ禍を乗り越え、社会経済活動の正常化が加速したことで、設備投資意欲が顕在化し、約30年ぶりの高い賃上げが実現されるなど、時代の転換が萌芽しています。今こそ、デフレ経済からの完全脱却、成長と分配による経済好循環を実現していく絶好のチャンスにしなくてはなりません。
政府におかれては、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の成長戦略を確実かつ速やかに実行に移すことで、生産性向上に裏付けされたモデレートな物価上昇、構造的な賃金上昇を実現し、持続的な成長型経済への転換を果たしていくべきであります。短期的利益に拘泥することなく、中長期の安定的経済発展のための「攻めの経済」、すなわち成長基盤の強化に寄与する政策に国家資源を集中し、官民一体となって、グローバル競争を勝ち抜く足腰の強化を図ることが重要だと考えます。昨年の総合経済対策では、中小企業のチャレンジを支援する方針が明確に示され、エネルギー高騰や物価高対策に加えて、潜在成長率の底上げに資する対策も多く打ち出されました。あとは実行あるのみです。
(「停滞」から「成長」へ)
当然のことながら、われわれ民間も政府に環境整備を求めるだけでなく、「停滞」から「成長」へとマインドを切り替えるとともに、時代の大きな変化を的確に捉え、自己変革に挑戦していかなければなりません。創意工夫に知恵を絞り、絶えざるイノベーションや事業の再生、再構築にまい進し、人や設備への投資を活性化させることが、経済全体としての新たな雇用の拡大、賃金増、さらなる需要増といった好循環を産み出すことにもつながります。また、原材料や光熱費、労務費などの原価を吸収し、適正な利益を確保するためには、「取引価格の適正化」が不可欠であります。引き続き、「パートナーシップ構築宣言」の実効性向上に向け、価格協議・価格転嫁が商習慣として定着するよう、われわれとしても粘り強く取り組んでまいります。
(125万会員のネットワーク力を生かす)
日商会頭に就任し、1年と2カ月が経過しました。この間、副会頭11商工会議所を訪問するとともに、各ブロックの総会や青年部、女性会の全国大会にも参加し、地域の第一線で活動されている会員事業者の皆様と意見交換する機会に恵まれ、多くの示唆を頂きました。この場をお借りして、心から感謝申し上げます。また、昨年6月に日韓商工会議所首脳会議を開催し、10月には、4年ぶりとなる経済ミッションを率いてフィリピン・マレーシア・シンガポールを訪問し、民間経済外交を本格的に再開しています。
「原点は対話である」が私の信条であり、本年も本年も可能な限り各地を訪問し、国内外の皆さまとの対話を重ねるとともに、経営指導員など現場により近い方々の声も踏まえ、活動の軸である「現場主義」「双方向主義」を実践し主義」を実践してまいる所存です。
われわれ商工会議所の最大の強みは、全国515商工会議所125万会員のネットワークであり、中小企業が直面する課題が複雑化する中、このネットワーク力を最大限に生かした行動が必要です。2025年には大阪・関西万博が控えており、地域の多様な主体の連携拠点として、全国的な機運の醸成をはかるとともに、ビッグイベントを新たな成長につなげていく動きを強力に後押ししてまいります。本年も「地域とともに、未来を創る」理念のもと、地域経済が再び成長と分配の好循環や豊かさを実感できるよう、515商工会議所の総力を結集して参りたいと存じます。皆さまの一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。