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〈旬刊旅行新聞1月1日号コラム〉――2024年の観光業界 イン・アウトバウンドの活性化に期待

2024年1月1日
編集部:増田 剛

2024年1月1日(月) 配信

 JTBが発表した2024年の旅行動向見通しによると、国内旅行は前年比2・8%減の2億7300万人と、ほぼ前年と同水準で推移するとみている。一方、海外旅行者数は同52・6%増の1450万人と大幅な増加を予想するものの、初めて2000万人を突破した19年比では、まだ7割程度の回復状況だ。

 

 急激に回復しているのは、訪日外国人旅行で、24年は3310万人と、19年の3188万人を超えて、過去最高を記録する見通しである。

 

 24年のカレンダーを見ると、3連休以上が11回と、23年の7回を大きく上回る。「3連休イコール旅行」という発想が定着しており、観光業界にとっては大きな追い風になるだろう。

 

 ゴールデンウイーク(GW)は前半(4月27~29日)と、後半(5月3~6日)に分かれているが、4月30~5月2日に有給休暇などを活用すれば、10連休になる。夏休みも、お盆時期(8月13~16日)を休めば、10~18日の9連休となり、回復が遅れる海外旅行の復活に向けて勢いづきそうだ。

 

 

 7月下旬から8月にかけてはパリ五輪が開催される。前回の東京開催はコロナ禍の真只中だったため、抑制された大会となったが、パリ大会では盛大な演出も計画されており、再び海外に目が向くきっかけになりそうだ。また、海外旅行自由化から60周年を迎え、旅行各社も記念商品の造成などによって、インバウンドとの格差が広がりつつあるアウトバウンドの活発化にも期待したい。

 

 アジア諸国の駅構内などは、英語、中国語、韓国語などと合わせて日本語での表示やアナウンスもされているが、訪れる日本人が少なくなれば、日本語でのサービスも、日本語を学ぶ現地の人もいなくなる。海外における「日本円」の最強時代を知る世代としては、最近の弱体化ぶりには寂しさを覚えてしまうが、せめて人的な国際交流で影が薄くならないように、旅行業界には「本業」で力を発揮してほしいと願っている。

 

 

 国内は、3月16日に北陸新幹線の金沢―敦賀間が開業する。東京駅から福井駅まで最短2時間51分と3時間を切り、新しい人の流れが期待できる。

 

 福井県・あわら温泉など魅力溢れる地域であるが、首都圏からは「遠い」印象が強かった北陸エリア。新幹線開業により、物理的にも、心理的にも「近い」イメージに変わるのではないだろうか。

 

 

 一方で、観光業界にはさまざまな課題が山積している。バスやタクシーの運転手、旅館の調理場や清掃スタッフなどの人手不足が深刻化している。2次交通が機能しない地方では、「ライドシェア」解禁も取り沙汰されている。

 

 日本の観光行政のトップ・髙橋一郎観光庁長官は昨年12月20日の会見で、「宿泊先の地域によって観光需要の回復は偏在傾向にある」と現実を直視しながら、「日本の地方部は限りない可能性も持っている」とポテンシャルの高さを認め、「インバウンドの地方誘客を力強く推進していく」と、日本の観光の進むべき方針を示した。    

 

 さまざまな調査を見ても、外国人の人気旅行先として日本は上位に位置している。これは、日本の文化力によるものだ。農業力、工業力など、地方のしっかりとした文化の土台の上に観光業があることを忘れてはならない。

(編集長・増田 剛)

 

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