津田令子の「味のある街」「金目鯛煮付セット」――郷土割烹伊豆の味おか田(静岡県・南伊豆町)
2024年1月7日(日) 配信
金目鯛の煮付けといえば伊豆の味おか田といわれるほどの有名かつ人気を誇る「郷土割烹伊豆の味おか田」を久しぶりに訪ねた。「ゆったりお食事を楽しまれたい方には個室もご用意させていただいております。なんなりとお申し付けください」とお客様一人ひとり丁寧に言葉を掛けられ、ホスピタリティを感じる対応に感動する。
美しい海と山、温暖な気候に恵まれた南伊豆湊に創業1985年の「おか田」はある。「召し上がっていただくだけではなく時間と空間にゆとりとを持っていただけたらという思いから設計しました」と2代目社長の岡田正司さんはおっしゃる。これまでにテレビやラジオの取材、さらにプライベートで家族ともども訪ね、その度に、新鮮な素材の豊かさに感激しながら金目鯛の煮付けを食べていたことを思い出している。
コロナ禍で、なかなか自由に取材に出られないでいるときに始めたお取り寄せ便が順調とのこと。サイズは大、中、小の3種類。中セットは「頭半割、カマ1切、身4切」3000円(税込)だ。以来南伊豆の美味しい味が、簡単に食卓に届く方法があると聞き、取り寄せたり友人に贈ったりしている。隣接する下田市は金目鯛の水揚げ量が日本一の港だが、この特産の新鮮な金目鯛をさまざまな料理法で提供している。冷凍の状態で送られてくるので冷凍庫での保存になる。「食べる際は冷凍庫から取り出して10分から15分ぐらい湯煎して召し上がって下さい。冷凍調理品なので到着後1カ月以内にお召し上がってほしい」と岡田さん。
おか田の煮付けの特徴は「漁場煮」と呼ばれる地元漁師の料理法で、漁師が船の上で食事をとる際に「煮汁自体が、ご飯のおかずになるように」と考え出されたという。甘辛い濃い目の煮汁をあつあつのご飯にかけていただいてから、皿に載せられた赤い鱗までたっぷり煮汁で浸した金目鯛に目を向け、厚み3㌢はあろうかという肉厚の身を一気にほぐしていく。とにかく美味しい。口の中を南伊豆の磯の香りと塩梅良く味付けされた煮汁が、占領している。
(トラベルキャスター)
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。