2万5000人分の2次避難所確保 事業者支援や支援パッケージ検討も視野に(髙橋観光庁長官)
2024年1月18日(木) 配信
観光庁の髙橋一郎長官は1月17日(水)に開いた会見で、元日に発生した令和6年能登半島地震について、2次避難所として2万5000人が受入可能とし、「協力いただいた宿泊業界へ厚く感謝申し上げる」と謝意を述べた。また、23年通年の訪日外国人旅行消費額が初めて5兆円を超え、観光立国推進基本計画の目標を達成した。髙橋長官は、「地方を中心とした訪日誘客、持続可能な観光地域づくり、国内交流拡大へ注力する」と抱負を語った。
観光庁は地震発生後、地方運輸局や宿泊・旅行関係団体を通じて、宿泊施設や観光施設の被害情報の収集、旅行業協会加盟の旅行会社におけるツアー参加者の安否確認、日本政府観光局(JNTO)によるSNSや「Safety tips」での情報発信、JNTOのコールセンターによる英語・中国語・韓国語による問い合わせ対応を実施した。なお、今でも対応などは継続中。
1月4日(木)には宿泊関係4団体に対し、被災者への宿泊場所の提供や、入浴、炊き出しなど、可能な限りでの被災者への支援について依頼。1月6日(土)から、現地での情報収集と、石川県側との調整のため、観光庁の職員を現地災害対策本部へ派遣した。
1月8日(月)には、政府対策本部における首相の指示を受け、被災者受け入れ可能な宿泊施設として、2月末までの間で、北陸4県で約9300人、長野県・岐阜県・滋賀県・三大都市圏で1万5600人分を確保。1月12日(金)に石川県側へ情報提供を行った。
宿泊事業者について、髙橋長官は、「発災直後から、石川県側の要請に応じて、宿泊施設に泊まりながら通院される透析が必要な患者約100人の受け入れをするなど、非常に立ち上がりが早く、迅速に対応いただいた。石川県における2次避難の推進に、極めて重要な役割を果たすベースとなっている」との認識を示した。「宿泊業界団体やホテルチェーン各社、被災された方々の受け入れを表明してくださった皆様のご協力に、心から感謝申し上げる」と感謝の意を示した。
「日々極めて厳しい状況にあることは、現地に派遣した職員から観光庁へ伝わっている。宿泊事業者の方々にご協力いただいている施設が、あたたかな受け入れ先として、被災者の支えとなることを期待している」と話した。
観光庁は、「引き続き、被災された方々の事情や声を踏まえて、まずは2次避難の円滑な実施への支援に最大限力を尽くすとともに、今後観光の復興に向けて全力で取り組む」考えだ。
2次避難所の宿泊施設では、1月17日(水)現在、56施設で1528人を受け入れている。
また、JNTOの調べによると、重点22市場の国・地域の旅行会社に聞き取りを行ったところ、東アジアや東南アジアで一部キャンセルがあったが、大規模なキャンセルや旅行控えは起こっていない。
政府は、災害救助法の適用を受けた被災中小企業に対して、日本政策金融金庫による災害復旧貸し付けの金利を引き下げるなど、資金繰りを支援する。このほか、地震に伴い、事業活動を収縮した全国の事業主を対象に、雇用調整助成金の申請用件を緩和する。これは地震発生の1月1日(月)にさかのぼって適用される。
今後は、観光業を含めた支援パッケージなどの検討を進めていくとし、「被災者それぞれの事情やニーズを踏まえたうえで、速やかに取りまとめる」考えだ。
□初の消費額5兆円へ 日本の地方部の可能性
23年通年の訪日外国人消費動向調査(速報)では、訪日外国人旅行消費額は過去最高額となる19年9・9%増の5兆2923億円、訪日客1人当たりの旅行支出は19年比33・8%の21万2000円となった。
新たな観光立国推進基本計画で定めていた早期達成目標に到達したことについて髙橋長官は、「円安や物価上昇の影響も考えられるが、宿泊数が増えたことも要因となるのでは。観光需要の回復は地域によって偏在傾向にあるため、地方誘客に注力する」とした。
こうしたなか、24年の抱負として、髙橋長官は、「日本の地方部は限りない可能性を持っている。地方を中心としたインバウンド誘客と、持続可能な観光地域づくり、国内交流拡大などを戦略的に行っていく」と意気込みを述べた。