補助金で海外へPR、自治体の活用にも期待、アニメやマンガ、映画など
「J‐LOP+」は、経済産業省が地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業として設置した補助金(8月1日号に概要)。コンテンツの保持に関わらず、コンテンツの活用が補助金交付条件になり、海外に向けた地域情報発信に取り組む自治体や団体の活用が期待されている。補助金について、引き続き同補助金を運営する映像産業振興機構(VIPO)協力のもと解説する。
補助対象となる事業は「コンテンツを有効活用して海外展開を促進する」事業で、「海外イベント主催・出展」=表=や「日本コンテンツ放送局への広告出稿」「海外プレスの日本招聘」などが挙げられる。ここで掲げるコンテンツとは、映像(テレビ番組や映画)、音楽、ゲーム、出版、キャラクターにあたる。現地が舞台の映画やテレビ番組、「ゆるキャラ」なども該当するため海外への地域PRに活用しやすい。
ローカライズやプロモーションなどに係る費用が対象経費で、具体的には(1)渡航費、宿泊費などの「旅費」(2)出展費、スタッフ費、権利使用料、通訳費、出演料などの「運営費」(3)媒体仕入、宣伝印刷物、ノベルティ製作などの「広報宣伝費」(4)翻訳、編集作業費などの「ローカライズ費用」(5)現地著作権登録料、現地語の契約書作成などの「法務費」――が補助対象となる。
補助率は、原則として対象経費の2分の1を補助するが、「地域経済活性化にとくに資する事業」「会社法で定める『大会社でない企業』か、その他法人、地方自治体」の2条件を満たしている場合は対象経費の3分の2を補助する。
コンテンツの活用で同補助金を獲得し、海外イベントに出展する自治体は増えている。7月にフランスのパリで開かれた日本文化の祭典「ジャパンエキスポ」に出展した鳥取県と京都文化交流コンベンションビューローは、地域にゆかりあるアニメやマンガ、映画を活用し、対象経費の3分の2が補助されている。
交付条件や活用方法についての問い合わせも多いことから、VIPOは補助金についての相談対応や説明会を開いている(要予約)。直近では、9月3日と17日にVIPO事務局(東京都中央区築地4―1―1 東劇ビル2F)で説明会を開く。説明会予約や以降の説明会日程、補助金申請はJ‐LOP+ホームページ(http://plus.j-lop.jp)から確認できる。電話での相談も受け付けている。
問い合わせ=映像産業振興機構内J‐LOP+事務局 電話:03(3248)5567。
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補助金申請期限(推奨)は16年1月31日だが、補助金総額60億円がなくなり次第終了。7月31日時点での申請状況は、申請512件に対し採択398件。交付決定金額は34億7025万5千円。
※次回(最終回)は、実際に補助金を活用した海外展開事例を紹介する。