電動船の一般乗船開始 島根・松江の堀川遊覧船
2024年1月30日(火) 配信
島根県松江市の松江城の堀で「堀川遊覧船」を運航する同市観光振興公社(能海広明理事長)は1月27日(土)、本田技研工業(三部敏宏社長、東京都港区、以下ホンダ)が開発を進める電動推進機を搭載する電動船について、一般客の乗船を始めた。
電動船の導入をめぐっては両社が昨夏から実証事業に取り組み、関係者や事前募集した松江市民を対象に試乗会を行ってきたが、同日から、予約をすれば誰でも乗れるようになった。
当面は2月25日(日)までの土・日曜日に完全予約制で運航する。1日4便で各便定員9人。料金は通常船と変わらず大人1600円、中・高校生1300円、小学生800円。希望日前日午後3時までの予約制。1人から予約可能。グループだけで乗船できる貸切船も対応する。貸切料金は1万6000円。
3月中旬以降は土・日曜日に加えて、平日も予約があれば運航を行う予定という。
電動船は、2050年にすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指すというホンダと、環境省の脱炭素先行地域に選定され、「カーボンニュートラル観光」を掲げる同市がタッグを組み昨夏に実証事業を開始。報道陣や行政関係者を対象にした試乗会を複数回開き、昨年10月には松江市民を対象にした無料試乗会も行った。計233人が試乗した昨年末までに、ホンダの運用検証の第1段階が完了し、ホンダ社員が同乗せず遊覧船の船頭のみで運航できるようになった。
電動推進機は低騒音・低振動、二酸化炭素排出ゼロ、余裕ある動力性能などが特徴で、バッテリー交換も容易という。試乗会では市民から「とても静かで船頭さんの説明がよく聞こえた」「鳥のさえずりや道を歩く人の声が聞こえるほど静か」「エンジンのにおいが一切なく振動もほぼない」と好評の声が上がった。
堀川遊覧船は松江城の堀の1週約3・7㌔を約50分かけてめぐる。国宝に指定される松江城の天守閣や武家屋敷が並ぶ町並みの風情が味わえる松江観光の人気メニューだ。本紙主催の「プロが選ぶ水上観光船30選」では創設した2018年から7年連続でトップ10入りし、今年は過去最高位の4位を獲得している。