観光庁、DMO全国会議開く 好事例共有や連携強化で魅力ある地域づくりへ
2024年2月7日(水) 配信
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観光庁は2月6日(火)、東京都内でDMO全国会議を開いた。日本各地のDMO職員など約200人が出席した。訪日外国人客が3大都市圏に集中するなか、一層の魅力ある観光地域づくりの推進へ、DMOの好事例を紹介しながら地方誘客に向けて連携強化をはかる狙いだ。
会議の冒頭、髙橋一郎観光庁長官は、2023年の訪日外国人客数は2500万人を超え、消費額は5兆3000億円と過去最高となった一方、7割以上が3大都市圏に滞在したことを説明。そのうえで、「地方には生かされていないポテンシャルがある。豊かな自然や文化を有する地方に訪日外国人客を呼び込むことが、日本の観光の重要な課題だ」との考えを示した。
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また、DMOには価値に合った収益を得て、さらなる発展に必要な投資や人材育成を促進し、次世代に受け継げる地域づくりも求めた。
基調講演では、観光庁の中村広樹観光地域振興部長が23年の訪日外国人客の消費額が過去最高だったことに触れ、「円安の影響を大きく受けている」と話した。
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小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長は「DMOの役割」をテーマに登壇。「最高だった23年の消費額はドル換算した場合、コロナ禍前と変わっていない」と指摘。23年の訪日外国人客数が約2507万人まで回復したことに対し「ビザの条件緩和などの国策や、日本政府観光局(JNTO)の国際的なキャンペーンの結果」と述べた。25年以降の旅行者数や消費額は「地方誘客を担うDMOの役割によって大きく変わる」と持論を展開した。
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そのうえで、1~3月と7~8月がピークの中国のほか、3~4月と8~10月に最も需要の高まる欧米豪からの誘客を勧めた。国内旅行はゴールデンウイークなどが繁忙期となることから、「需要を平準化でき、賃金上昇と安定した雇用も生む」と話した。これにより、新たな投資を呼び込み、観光客の増加につながることも説明した。
また、「DMOは観光で稼がなければならない。業務はマーケティングだけでなく地元の経済成長にも貢献することとなる」と述べた。
「先駆的DMOによる取り組み発表」についてのパネルディスカッションには、田辺市熊野ツーリズムビューロー会長の多田稔子氏と、京都市観光協会マーケティング専門官の堀江卓矢氏、下呂温泉観光協会の瀧康洋氏が登壇した。モデレーターはJTIC.SWISS代表の山田桂一郎氏が務めた。
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訪日外国人客の誘客について問われた多田氏は「プロモーションは、JNTOが盛大に実施している。これに合わせ、受入体制を強化している」と語った。また、コロナ前は収入の約8割を訪日外国人客から得ていたことから、森林学習を行う教育旅行の受け入れを始めたことも紹介した。
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堀江氏は「海外メディアに対する取材対応や通訳ガイドの育成、商品開発をしたい事業者へ支援を」と語った。
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瀧氏は「国内旅行に力を入れながら、日本人に人気であることをアピールしてきた。その結果、高単価のお客に来てもらえている」と話した。また、「関連団体が協力し、団結して取り組むことが大事」と語った。
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その後、日本各地の37のDMOが23年度の取り組みを紹介。名刺交換会も実施し、連携を強化した。
山田氏がモデレーターとして入っておられることが大切だと思います。DMOは基本的には稼ぐ力がないと組織として意味のないもの。稼がずとも行政の補助で良いという評論家もいますが、それではこれまでの観光の形に変わりはありません。観光庁がややもすればその流れを使っていたように見受けましたが、山田氏の起用で安心しました。地方の昭和の頭から脱却できない観光協会の指導をより強くしていただきたいものです。