長栄館(岩手県・鶯宿温泉)が破産手続き開始決定受ける 負債は約28億7400万円(帝国データバンク調べ)
2024年2月29日(木) 配信
長榮舘(照井久美子代表、岩手県・雫石町)は2月20日(火)、盛岡地裁に自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。破産管財人は太田秀栄弁護士(盛岡市)が選任されている。
帝国データバンクによると、負債は約28億7400万円。
同社は1952(昭和27)年6月に設立された鶯宿温泉の温泉旅館「長栄館」の運営業者。97年から98年にかけて約20億円を投じ、10階建て、客室数80室、収容人数約400人の規模に全館をリニューアルした。団体客や宴会客を積極的に受け入れ、ピーク時には年間収入高12億円台に達していた。
しかし、景気悪化の影響を受け、2001年2月期の年間収入高は10億円台を割り込み、その後は、償却負担や金利負担により収益性が悪化していた。
近年はコロナ禍で宿泊稼働率と業績が落ち込み、23年2月期の年間収入高は約1億9000万円にダウン、大幅な債務超過に陥っていた。
この間、22年12月には9000万円余りの雇用調整助成金の不正受給が明るみとなり、追徴金を合わせ約1億800万円の返還を求められていた。
加えて、「今年1月には国から約4000万円の補助金を不正に受給したとして前代表が詐欺の疑いで逮捕され、信用失墜と資金繰り悪化に加えて、公租公課の滞納もあり経営が行き詰まった」。
なお、現在も営業は継続している。帝国データバンクによると、破産管財人は「民事再生ではなく破産となった理由の一つとして、『公租公課を滞納しており、民事再生中に差し押さえられると再生計画が頓挫してしまうため、破産を行うことにした』と説明している」という。
2年前、あるイベントで鶯宿温泉の日帰り入浴券を頂き、一度だけ利用いたしました。格式を感じさせ、規模的にも歴史においても、鶯宿温泉のリーダー的なお宿といった印象でした。
温泉そのものは、とても素晴らしかったです。しかしながら、建物は全体的に渋く暗めな設えで、接客はつっけんどん。泊まるなら、近所のお洒落な温泉ホテルを選ぶかも。
それにしても売上金額に比して、負債額が絶望的なほど大きく、大手温泉旅館チェーンでさえも、買収には二の足を踏むでしょうね。
こういった老舗旅館の倒産や破産は今後も続くでしょう。