準UD客室整備を すべての人が使える客室へ(国際観光施設協会・野出木副会長)
2024年3月6日(水) 配信
国際観光施設協会の野出木貴夫副会長はこのほど、東京都産業労働局が実施した宿泊施設バリアフリー化促進セミナーに登壇し、「健常者と障害者に分けて客室を考えるのではなく、両者が使える準バリアフリー客室を整備することも大切である」との考えを示した。
国際観光施設協会ホテル都市分科会では、ユニバーサルルーム(新UD客室)の研究「e―WA プロジェクト」を推進している。
バリアフリー法の基準を満たした客室に加え、法的基準には若干届かないが準じて使用できる「準バリアフリー客室」を増やすことを目的に、車いす使用者に便利で、健常者も抵抗なく使用でき、施設運営側も売りやすい客室を提案。車体に特殊な車輪を採用し、横移動も可能で回転直径を狭めた新型電動車イスを試作した。
同セミナーでは、身体障害者が健常者の使用する一般客室を少ない改修を行うだけで利用できるさまざまなツールを紹介。そのほか、客室のドアを引き戸にしたうえで自動化するアイデアなど動画を用い説明した。
一方で「今回のアイデアはさまざまなツールを盛り込んでいるので、構造などの問題で既存施設の改修に関してはハードルが高いモノもある」との課題感も提示。
そのうえで、「新築ではなくても、工夫次第で可能な部分はあると考える。普段は健常者に使っていただきながら、車いすを使う人が利用されても使える客室を用意しておくことは、インバウンドや足腰は弱ってきているが旅行に出掛けたいと考えている高齢者の需要を増やすことにもつながる。ささやかな工夫を加えた準バリアフリー客室を増やすという考えもあることを知っていただきたい」と参加者に呼び掛けた。
宿泊施設バリアフリー化促進セミナーは、障害者や高齢者などあらゆる人が利用しやすい宿泊環境の実現に向けて東京都が年5回行ったセミナーで、都内の民間宿泊事業者や備品製造事業者など、宿泊施設のバリアフリー化に携わる事業者がオンラインで視聴した。