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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(158)またここで!を創造するおもてなし 良い懇親会を始めるため

2024年3月17日(日) 配信

 

 セミナー終了後に、「乾杯」の発声で始まる懇親会は、お酒を飲まない私にとっても楽しみのひとつです。初めての参加者ともゆっくり話ができ、久しぶりに逢ったリピーターの方とも、楽しく過ごせる時間だからです。

 ただ、この「乾杯」と始まる時点で「店選びに失敗した」と感じることがあります。セミナー終了後に、参加者には改めて懇親会場に集まってもらい、生ビールに酎ハイ、ソフトドリンクと好きなものを注文してもらいます。

 しばらくすると、生ビールがテーブルに届きました。ファーストドリンクはスピーディーが鉄則です。店によっては、オーダーが入ってからはじめの飲み物を3分以内に届ける、あるいは、先に追加注文したテーブルがあっても、ファーストドリンク客を優先させるルールを設ける店もあります。お客様の楽しい時間を創造するために大切なことです。

 しかし、ここで忘れていけないのは、飲み物を届けた後のお客様の行動です。生ビールが届いてから、それ以外の飲み物がそろわなければ、乾杯をするころには、ビールの泡がほとんど消えることになります。

 先日に利用した店では、飲み物の届く時間差はほとんどなかったのですが、生ビールが最後に届けられたことで、最幸の乾杯ができたのです。後で合流した人たちのオーダーも、会場内を見渡して声を掛け、再乾杯のために飲み物が少なくなった人から、積極的に追加注文を受けていました。

 店にとっても、声掛けによって飲み物の売上が伸び、私たちにとっても心地良い時間を過ごすことができたのです。早くオーダー商品を届けることは大切ですが、その先にもう一歩思考を向けると、お客様に楽しい時間のために何に注意しなければならないかが見えてきます。

 懇親会場にはサプライズとして、予約席にメッセージカードを置いてくれる店もあります。サービスに定評のあるレストランを探して、当社のスタッフが予約をします。あるレストランでは、到着時に案内されたテーブルに「数あるレストランの中から当店をお選びくださりありがとうございます。今日はお楽しみください」という内容のメッセージカードが置いてありました。とてもうれしいおもてなしの一例です。

 ところが、そのメッセージカードを見たとき、とても残念に思いました。カードには当社スタッフの名前だけが書かれていたのです。名前が予約者しか分からないので仕方ありませんが、今回の主役はセミナー参加者です。教えられたことだけを実行するのではなく、お客様の喜びを考えた「考動」できる店が、「またここで!」を創り出すおもてなしなのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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