〈観光最前線〉消えゆく大神島のウヤガン
2024年4月3日(水)配信
沖縄県・宮古島の島尻漁港から船で15分、周囲4・7㌔、人口18人の大神島(おおがみじま)は、その名の通り神の住む島と言われている。手つかずの自然が残る反面、聖地とされる区域にはむやみに立ち入らないなど、独自のルールがある。
島の名を世に知らしめるのが、祖神を島に迎え豊穣を祈願する「ウヤガン祭」だ。儀式を担う女性が年に5回、3―5日かけて神をまつる御嶽(うたき)にこもり、食べ物を口にせず、不眠で神歌を唱え、ついには「ひょう依」状態になるという。だが全容は島民にも秘され、研究文献もわずかだ。
その神事も高齢化と後継者不在を理由に、「昨年で終わった」(大神島のおじいの観光ガイド)そうだ。記録されることを望まず、やがて記憶から消えゆくという選択。人や文化の崇高さを感じた。
【鈴木 克範】