日本旅館協会未来ビジョン委員会、旅館の未来像提言 ホテレスでセミナー開く
2024年4月3日(水) 配信
日本旅館協会(大西雅之会長)の未来ビジョン委員会は今夏、旅館の未来像を示す提言を発表する。エネルギーコストや原材料費などの高騰のほか、人手不足など宿泊施設がさまざまな課題を抱えるなか、世界に誇る旅館の文化を持続させたい考え。このほど、第52回国際ホテル・レストラン・ショーでセミナー「リョカンのミライを考える」を開き、これまでの検討成果を報告した。
第1部「旅館は持続可能なのか」では、未来ビジョン委員会委員長の相原昌一郎氏(新井旅館、静岡県・修善寺温泉)が登壇。宿泊業の人手不足の原因について、厚生労働省が発表した昨年における全産業の平均賃金は31万1800円だったのに対し、宿泊飲食サービス業は25万7500円と低水準にあることや、宿泊業における1週間の平均所定労働時間は36時間35分と全産業で最も長時間であることを挙げた。
そのうえで、宿泊業では深夜や早朝に働くことが求められることから、「(全産業の平均を)上回るぐらいでないと、労働市場で選択してもらえない」と語った。「地方は人手が足らないので、都市部での募集が欠かせない。都心より条件が劣るままでは、地方の宿泊業は人手不足を解決できないだろう」とも話した。
これらの課題を解決するため、「未来ビジョン委員会は『リョカン(Ryokan)を世界共通語に』を掲げる」と語ったうえで、「旅館が自信を持ってすべての人に本来の価値を届けることで、適正な料金をもらえるようにしたい」と話した。
「旅館は旅館らしく自信を持って経営することで、世界に通用し、評価され、賞賛されるだろう」と持論を展開した。
旅館の本来の価値については、独自の価値を持ち、地域社会に貢献し、地域の文化伝統を守っていることのほか、働きがいのある職場として選ばれ、業界全体の底上げに貢献し、世界基準の多様性に対する配慮がなされていることとした。
第2部では、リョカン(Ryokan)を世界共通語とするために必要な取り組みを説明した。
冒頭に登壇した同委員会の桑島大介氏(北こぶし知床ホテル&リゾート、北海道・斜里町)は