日本バス協会、バスを夢ある産業に 「10年ビジョン」策定へ
2024年4月4日(木)配信
日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長)は3月21日(木)、東京都内で通常理事会を開いた。運転者の確保対策と働き方改革、乗合バスの維持などに努めつつ、バスを夢のある産業にすることを目指す「10年ビジョン」の策定などの事業計画を承認した。
冒頭で清水会長は「4月からの2024年問題が目前に迫っている。人手不足は乗合バス、貸切バスともに厳しい状況。乗合バスは路線の減便、廃止が全国で相次ぎ、貸切バスも旅行の設定含めて影響を受けたため、需要回復に対応できない状況」と明かした。
人手不足の対応は賃金を上げていくしか方法がないと強調したうえで、「賃金の原資は運賃。運賃をある程度常に上げながら、上がったものを賃金に反映していく循環になるようにしていくしかない」と力説した。
加えて、運転者の労働環境について改善が必要であると指摘し、運転者に対する「カスタマーハラスメントが深刻になっている。バスが遅れたときのトラブルや暴言があり、運転そのもの以外でストレスがある」と説明し、防止に向けて利用者に強く訴求する取り組みを進める意向を示した。
人手不足対策の一つである外国人運転者制度については、「3月18日に自民党の合同会議で実質合意ができたことで、特定技能での運転者制度に門戸が開かれるようになる。実際に役立つ制度にしていかなければいけない」と意気込んだ。
「10年ビジョン」の策定では、長期に及んだコロナ禍を経て、バス事業を取り巻く環境が大きく変化している状況などを踏まえ、バス事業の将来を見据え、バスを夢のある産業にすることを目指す。内容は人材不足と働き方、EVバス普及、自動運転の本格化、キャッシュレス化の推進、安全安心なバスの徹底など。
なお、今回承認した議案によって、令和6年能登半島地震の被害を受けた石川県バス協会に、100万円の災害支援金を拠出すると決定した。