「提言!これからの日本観光」 「情報」は「観光」の「血液」
2024年4月7日(日) 配信
「観光」にとって「情報」は「血液」としての役割を果たすといわれるほど、その果たす役割は大きい。
これまでの「観光」はその主な情報源はいわゆる観光雑誌や、とりわけ観光ガイドブックなどによるものが中心であった。
しかし、この種の「情報」は主に東京などいわゆる観光客の「発地」から出される情報であった。各地の観光と経験取材したガイドラインなどの編集者(観光地などを代表する)の目線によるものが中心となっていたと考えられる。
観光(客)が真に必要とする観光(地)情報はむしろ観光地(着地)発のまた、観光地の目線に立ったいわば生きた「観光地情報」ではないかと思う。この着地別情報が流通していなかったためにまた、観光情報誌などが発地目線の記者の取材による情報が中心であったために発地側目線の情報がほとんどであったと考えられる。
従って、観光に出掛けようとする人が目的地で選ぶ場合の情報にともすれば、偏りが生じていたのではないかとも推察される。
観光(地)情報は観光地発の(観光地の目線に立った)いわば生きた情報が不足していたように思われてならない。
観光地からの観光地目線での観光情報が発地目線の観光地への観光客への情報の陰に入っていたような感じさえするのである。
その結果、特定の観光地に偏った観光客の集中が見られ、観光効果を滅殺するような観光行動が目立つようになった。また「観光」の場合、特定時季に特定観光地へ観光客も過度に集中して、混雑を招き、観光効果を滅殺する状況が目立つのであるが、そのような傾向をむしろ観光情報が助長するような結果を招いているのではないかとさえ思う。
有効な観光情報はこのような特定地への情報集中による逆効果を防ぐべく、あくまでも観光客のニーズを正確に把握。そのうえで、観光客が必要とする情報を着地発のもの、発地からのものまた、地元観光団体や自治体などからの公式の情報などその発信源は多岐にわたるが、観光に入る動機を提供する適確なものを中心とすることが求められる。
即ち観光客数を増やすための単なる誘致情報からの脱皮である。観光客の観光する心に訴えるいわば、観光地(着地)と観光客の心を結びつけるような着発地が連携した観光地情報こそが必要なのではなかろうか。
数の増加もさることながら観光客の心に訴える情報が提供できるならば、観光客と観光地の観光する心(一致が見られるならば)その情報は観光客に一過性でない観光客を誘発し、同じ観光地の持続的リピーターとなって幅広く持続性のある観光行動に誘引することが可能になると思われる。
観光は人の心に訴えるものであるだけに、このような幅広いかつ奥深い情報の編集発信が求められる。即ち、「情報」は「観光」にとってまさに「血液」としての役割を果たすものであると確信する。
日本商工会議所 観光専門委員会 委員