飛行中の被雷回避を JALと三菱重工が支援サービスの使用契約結ぶ
2024年5月8日(水) 配信
日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)と三菱重工(泉澤清次CEO、東京都千代田区)はこのほど、被雷回避判断支援サービス「Lilac(ライラック)」の使用契約を結んだ。航空機の被雷予測を高精度に行うことができるもので、両社の共同研究により、AI予測モデルが開発された。
同サービスは4月から国内の空港を対象に運用を開始。これにより、パイロットは飛行中でもコックピットから実際に見える雷雲と機上レーダー、アスキーアートレポートを重ね合わせて、到着経路にある発雷の可能性がある雷雲の有無を考慮した到着経路を選ぶことや、着陸する時間を見合わせることができるようになった。
冬の日本海沿岸では、夏に発生する通常の雷に比べて放電エネルギーが何倍も大きく、世界的に珍しい現象である冬季雷が発生することがある。これは気象レーダーに映りづらい特徴があり、雷雲の発生している場所の特定が難しいことから、パイロットはより繊細な航空機の運航が求められるという。
航空機の被雷のほとんどが離発着時で、航空局によると、国内での航空機への被雷は年間で数百件発生しているという。航空機の修復には長い時間を要することから、スケジュール遅延による経済的損失を含めると、国内では年間約数億円規模の損失が計上されている。
離発着時はパイロットの操縦操作が煩雑な時間帯のため、インターネットを使用したWeb用の雷雲イメージを確認することは困難という。一方、ライラックは地上運航従事者が機上のインターネット環境に依存しない、既存システムを活用した通信を使用して送付することで、パイロットは必要な情報を一目で把握できる。
JALらは「より安全な航路を選定することで安全性、快適性を考慮したフライトをお客様に提供します」とコメントしている。