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JTB連結決算、売上1兆円超4年ぶり 国内や訪日旅行が回復

2024年5月28日
編集部:長谷川 貴人

2024年5月28日(火) 配信

山北栄二郎社長

 JTB(山北栄二郎社長)が5月24日(金)に発表した2023年度(23年4月~24年3月)連結決算によると、売上高は前年同期比10.5%増の1兆809億5000万円と4年ぶりに1兆円を超えた。営業利益は同25.9%減の249億4100万円、経常利益は同27.3%減の288億9900万円、当期純利益は同38.9%減の183億1600万円の増収減益。山北社長は「コロナ禍の守りから攻めのフェーズに移行するステップとして、DXや人への投資、成長投資を加速させる“攻めの減益”」と説明した。

 23年度は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、国内旅行や訪日旅行が回復。企業イベントや出張の需要拡大を捕捉したほか、国内外で国際イベントの取り扱いが活発化し、世界的な人流復活でグローバル事業も大きく回復した。

 部門別の売上高は、国内旅行が4592億円(同18.7%増)、海外旅行が1592億円(同289.4%増)、訪日旅行が545億円(同269.8%増)、グローバル旅行が880億円(同165.1%増)。全部門が増収となり、旅行事業の合計は同60.0%増の7609億円となった。一方、旅行以外の事業は新型コロナ関連の受注が減少したこともあり、同36.3%減の3200億円だった。

 コーポレート部門の人材面では、社内制度の拡充や高度専門職人材の獲得などによる人材基盤の整備に取り組み、DEIB(多様性・公平性・包括性・帰属性)の考え方について浸透をはかった。財務面では、有利子負債256億円の返済、優先株式319億円の全額早期償還を実施し、「引き続き強固な財務基盤を確保しつつ、守りから攻めへの経営体制を構築していく」(山北社長)と力を込めた。

24年度の業績見通し、成長・飛躍の段階へ

 24年度の業績見通しでは、売上高は1兆1620億円、営業利益が116億円とともに黒字化を目指す。現中期経営計画フェーズ3「成長・飛躍」(25~28年度)を見据え、「未来から現在(いま)を創る」をテーマとし、経営の根幹となる長期ビジョンを策定し、バックキャストでの経営を推進する。

 各事業が既存ビジネスにとどまらないビジネスモデルの変革によって、収益性の向上・事業領域を拡大。海外旅行の回復に向けた取り組み、企業エンゲージメント向上、地域との共生を推進するとしている。

 24年度のツーリズム事業は「海外旅行の回復」をテーマに、プロモーションと目的型商品の強化に注力する。SNSを使ったアプローチ、政府観光局や航空会社とのタイアップ、パスポート取得費用支援の継続など、需要喚起に向けたプロモーション強化と人気方面への加重。コロナ禍以降の旅のトレンドと捉える目的型や、滞在先の高付加価値体験プログラムを拡充するとしている。

 エリアソリューション事業は「地域との共生」をテーマに、観光DXを軸としたオーバーツーリズム対策とエリア価値の向上。ビジネスソリューション事業では「企業のエンゲージメント向上」として、エンゲージメントを強化し、ビジネスイベントを通じて企業の課題解決などに取り組む。

 事業基盤においても、①コーポレートトランスフォーメーションの推進②社会的有用性の高い企業への変革――の2本柱で強化していくとした。

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