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【特集 No.657】和倉温泉の現状とこれから 能登の里山里海を“めぐる力”に

2024年5月31日
編集部:増田 剛

2024年5月31日(金) 配信

 今年1月1日午後4時10分に、最大震度7を観測した令和6年能登半島地震が発生した。石川県・能登半島を中心に北陸エリアなど広い範囲で被災した。激震が襲った能登半島は復旧への遅れが目立つ。地震発生直後から4カ月半が経過した5月15日、本紙は和倉温泉旅館協同組合を訪れ、谷﨑裕理事長(日本の宿 のと楽社長)に和倉温泉の現状と、若手を中心に創造的な復興に向けた新たなビジョンや取り組みについて、インタビュー取材した。

【本紙編集長・増田 剛、関西支社長・塩野 俊誉】

谷﨑裕氏

地震発生時

 コロナ禍の3年間、和倉温泉も大変厳しい時期を過ごしました。昨年5月8日にようやく感染症の位置づけが5類へ変更され、昨年末にはコロナ前(19年比)の8―9割まで需要が戻ってきていました。

 新年を迎え、春には100%回復すると期待し、「和倉温泉も次のステージに向かって頑張っていこう」と決意したのが1月1日でした。

 当日、和倉温泉の各旅館はほぼ満室でした。大晦日から連泊される宿泊客も多く、個人や小グループを中心に約2800人のお客様がお越しになられ、当館も正月らしい華やかな雰囲気でした。

 午後4時6分に珠洲市の方で震度5強の揺れがあり、その4分後に志賀町で最大震度7の地震が観測され、これまでに経験したことのない激しい揺れに襲われました。

 チェックインや夕食の準備の時間帯のため、宿の人員体制も整っていました。多くの旅館は海に面しており、「もしかしたら津波が来るかもしれない」と考え、まずは「お客様を安全な場所へ」と即座に避難所への誘導体制に入りました。公民館と小学校が避難場所になっており、海から山の方へ速やかに誘導しました。各旅館はスムーズに宿泊客を誘導していたようです。歩いて10分程度ですが、地震で路面や歩道がガタガタになっており通常の2倍以上かかってしまいました。

 避難所は地元住民を想定しており、地元の方々と宿泊客が重なり、小学校の体育館にも想定をはるかに超えた人(約2千人)が避難場所に集中しました。

 この大きな災害……

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