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地域のおもてなしでファン獲得へ ON・ガス1年間の歩み

2024年6月5日(水) 配信

(左から)岡本真理氏、本橋事務局長、小川理事長、溝田ディレクター

 ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構(小川正人理事長)は2023年度(23年4月―24年3月)、新規開催地5カ所を含む全国35カ所でイベントを開催した。加えて、長期滞在でも楽しめるコンテンツも取りそろえたインバウンド向けの特別なイベントを、観光庁の支援事業を活用し実施した。今年度の活動と、各地域で開催するイベントが地域にもたらしている変化、そして機構の今後の展開についてまとめる。

◇    ◇

 2023年度は全国35カ所でイベントが開催され、昨年より約500人多い約5500人が各地でON・ガスウォーキングを楽しんだ。23年度の新規開催地は、山形県・西川町と千葉県館山市、岐阜県恵那市、島根県益田市、徳島県美馬市の5地域。各イベントの総合満足度は平均92%、ガストロノミー満足度が平均90%、コース満足度が平均88%。なかでも「食」は16年のイベント初開催以降、集客のカギを握っており、満足度を高める重要な要素になったという。

 加えて、満足度やリピーター・地域のファン獲得に重要な役割を果たしているのが、「地域のおもてなし」。例えば奈良県・川上村は、人口の5分の1に当たる約200人がイベントに関わり、参加者に地域の魅力を発信することで、これまで2回開催されたイベントはいずれも高評を博した。

 溝田祐一郎ディレクターはこうした傾向に関し、「おもてなしの心が見えることが、参加者の期待値を超える最後のカギになっていると感じています。総合満足度がとくに高いところは、まち全体で参加者をお迎えしているというのが実感できる場所だということは、参加者のアンケートでも読み取れます」と分析。「地域が一丸となってイベントに関わることで、効果的な地域プロモーションが行えているという声を開催地域の皆様からいただいています。それは、地域のありのままの魅力、地元の人だからこそ伝えられる良さを、そこに住む人が参加者との交流のなかで自分の言葉で伝えて下さっているからだと各イベントに関わるなかで感じています」と自身の考えを語った。

地域一帯で参加者を歓迎

外客向けに特別企画 長期滞在の視点も

 23年度は通常のイベントに加え、観光庁の支援事業を活用し、長期滞在が楽しめるようさまざまなコンテンツを組み合わせたインバウンド向けプレミアムイベントを5地域で開催した。鹿児島県鹿児島市と屋久島の2カ所では、「観光再始動事業」を活用しイベントを展開した。

 鹿児島市で実施した、「鹿児島市ガストロノミー音楽祭」は、桜島フェリーの船内でグルメと焼酎をクラシックやジャズのコンサートとともに楽しむクルーズ企画。翌日には、入場制限地域にある6号ダムの特別見学や、錦江湾で獲れる新鮮な魚を使った寿司握り体験などが楽しめるウォーキングイベントを開催。屋久島では、白谷雲水峡や縄文杉、大川の滝などの名勝地を環境省のレンジャー(自然保護官)のガイドを聴きながら巡る2泊3日のツアーなどを行った。

音楽祭を楽しむ

 栃木県日光市と神奈川県横浜市、千葉県いすみ市では、「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」を活用し、特別なイベントを開催した。横浜市で23年10月から24年1月の期間で3回開催したイベントは、臨海部の観光名所をつなぐ臨港パークから山下公園までの水際線コース「BAY WALK YOKOHAMA」と、「横浜中華街」を歩く約7㌔の都市型ガストロノミーウォーキングで、初回開催時には早朝のジョギングイベントやサップ体験などのオプションメニューも用意し、横浜の魅力をさまざまな角度で体験できる機会を整えた。このほか日光市といすみ市のイベントでは、各地域の歴史と食の魅力を巡るウォーキングイベントを展開し、地域資源の再発見と磨き上げに関する意見交換も行われた。

 本橋春彦事務局長は「特別なイベントを開催した5カ所は、いずれもガストロノミーツーリズムの観点で注目されている場所。今回の各事業を通じて、ガストロノミーツーリズムへの注目度や、同ツーリズムによる観光需要が旺盛であることが確認できた」と手ごたえを語る。

春開催イベント増や海外開催実現も模索

 同機構は24年度、6年ぶりとなる沖縄県での開催に加え、新たに4自治体でのイベント開催を予定する。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり現在イベントの開催時期が下半期に集中していることが課題となるなか、小川正人理事長は「桜などの花が見ごろとなる春開催のイベント数を増やしていきたい」との考えを示す。併せて、20年2月に台湾・台中でイベントを開催したことに触れ、「ガストロノミーツーリズムの本場のフランス・アルザスや台湾との関係強化に加え、インドネシアやタイ、ベトナムでの開催も実現させたい」と力を込めた。また、北海道の「日高山脈襟裳国定公園」が今夏国立公園に格上げされる見通しであることに触れ、環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを締結している企業との共催で、「全国の国立公園の活性化を進めていきたい」との考えも示した。

 一方溝田ディレクターは、「残り15都府県でイベントが実施されれば、目標に掲げている全国各地でのイベント開催が実現します。スタート当初は徳島県が唯一の開催地だった四国でも、途中新型コロナウィルス感染症の流行・拡大で中断した時期もありましたが、今では4県7カ所でイベントが行われるまでになり、リピーターも順調に獲得できています。最近では、首都圏の方を中心に、旅行の目的、もしくは旅程の一つとしてイベントに参加される人も増え、『イベント前後の滞在時間を延ばす』という課題の解決も進みつつあるので、あと2年でこの目標を達成したい」と今後の展開への考えを示した。

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