旅行・宿泊業の約85%が人手不足で営業制限 宿泊は48%が営業日縮小 (サービス連合調査)
2024年6月6日(木) 配信
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(櫻田あすか会長)はこのほど、加盟組合に対して行った人材不足が産業に与えている影響についての調査結果を発表した。これによると、旅行・宿泊業の加盟組合のうち85%の事業者が、人材不足を理由に営業制限を行っていることが分かった。
具体的に旅行業では来店予約が52.9%で最多。次いで、営業時間短縮(47.1%)、店舗の統廃合(41.2%)、入札や案件辞退(29.4%)の順。宿泊業では、営業日縮小が48.6%でトップ。以降は、営業時間短縮(34.3%)、販売数の制限(28.6%)、全館休業日の設定(28.6%)と続いた。
退職理由の問いに対し、旅行業は会社の将来性が64.7%で最多。2位は職場環境で58.8%。3位は仕事量が多い、勤務時間が長い(残業が多い)、賃金が低いで52.9%。4位は観光業界への不安で41.2%。宿泊業は賃金が低いが88.6%で最も多かった。次いで職場環境(54.3%)、勤務時間が長い(40.0%)、会社の将来性(31.4%)と続いた。
対策として、中途採用を増やしている。旅行業はコロナ禍前の2019年比42.9%増、宿泊業は同76.5%増となった。さらに、宿泊業は57.1%がタイミーなどのスキマバイトを利用していることが分かった。
サービス連合は2024年度重点政策で産業の人材不足への対応を掲げている。「労働力人口の減少による人材不足は、産業界で最も懸念すべき案件」(サービス連)と捉えている。このため、今回の結果などを基に適正な対策を練り、国や自治体のほか、業界団体や企業、教育機関などに働き掛けていく。