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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(161)お客様に寄り添うとは 想像力をはたらかせて

2024年6月16日(日) 配信

 

 クライアント企業に、「対応が冷たい」という「お客様の声」が届きました。「接客」を大切にする企業だけに、「もてなし」に疑問を持つその声は、経営者の受け止めも重く、私に対応への相談をされました。とくに現場の担当者は、常に丁寧な対応を心掛けていただけに、とてもショックを受けたようです。

 近年、医療関係者の「おもてなし」に対する関心が高まっています。これまでは病院の大きさや医師の評判などで病院を選んでいた利用者は、その対応に不快な思いをしても、仕方ないとあきらめていました。

 先日、内科に行ったときに、毎年の検診予約をしました。看護師から「説明をしますので、外でお待ちください」と言われ、「外とはどこですか」と質問すると「出たところです」といったやり取りがありました。

 このときに、クライアント企業が受けた「対応が冷たい」という言葉の意味が分かりました。看護師は患者に不快な思いをさせている、という認識はないでしょう。しかし、利用者の多くは、言いたいことを我慢しているのです。看護師は毎日、患者に話すことでしょうが、私は戸惑うばかりでした。

 理由は、看護師には、外のイメージが明確にあって話しているのですが、私は同じイメージを持っていない。こういうときに、誤解が生まれ説明不足といった苦情を受けるのです。説明も、後遺症などについて書類を見ながら小さな声で早口に話されるだけです。何度か受診しているので内容は分かりますが、これで「サインしてください」と言われても納得できません。「言う」ではなく、「伝える」ことが大切なのです。

 そのためには、聞いてもらえる環境をつくり、クッション言葉を使うことが有効です。「恐れ入りますが」「お聞きいただいたこともおありだと思いますが、大切なことですので」という、相手に寄り添う言葉を使えば、聞く側も話す人に意識を向けます。さらに動作がそこに加われば、良い対応と評価が上がります。

 ある日伊丹空港で、家族から頼まれたチーズケーキを購入するため、売り場を探しましたが見つかりません。レジのスタッフに聞くと、「30分後の14時から個数限定で販売される」と説明して、その後に自分の持ち場に「レジ中止中」の看板を出して、レジから出て来てその場所まで案内してくれたのです。

 しかしそこでは、「このラインでお待ちいただければ、整理券が配られますのでしばらくお待ちください」と案内されました。空のワゴンを前に30分間どうしたらよいのかと悩む私をイメージして、掛けてくれたその寄り添う言葉に感動すら覚えたのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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