アーティスト主導の見本市「Art Fair NAKANOJO2024」 群馬県・中之条町で6月23日まで
2024年6月19日(水) 配信
群馬県・中之条町で6月23日(日)まで、アーティスト主導のアートフェア「Art Fair NAKANOJO2024」が、旧廣盛酒造を会場に開かれている。運営委員長は西島雄志氏。入場料は一般500円(中学生以下は無料)。
18年の歴史を持つ国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ」の町、中之条町で地方発信のアーティスト主導による新しいアートフェアが誕生した。中之条ビエンナーレに参加した作家を中心に47組の作家が作品を紹介、来場者がその場で作品を購入することができる見本市を初めて開催している。
中之条町は古き良き里山の風景を残しつつ、柔軟にアートを取り入れている全国にも稀に見る成功例のひとつ。中之条町では地域がアーティストを育て、アートが地域を活性化する仕組みが生まれつつあり、地域芸術祭から始まった地方のアートシーンの活性を体験することができる。
同アートフェアは、ギャラリーではなくアーティスト一人ひとりが作品を紹介・販売する。展示物の販売だけでなく、店舗や客室の総合的な提案も含めて相談窓口を設けて一過性のイベントではなく、地域とアーティストのつながりを密接にすることもアートフェアの目的のひとつである。
会期中の週末には、トークセッションを開催。またアートフェアに出展するアーティストの中には、絵画や彫刻だけではなく、パフォーマンスやライブイベントなど、行為性を作品として販売する作家も出展している。
□四万温泉の「湯の宿山ばと」のアーティストルーム
四万温泉の「湯の宿山ばと」(山口良子社長)は客室のリニューアルに合わせて、2023年7月にアーティストルーム2部屋を誕生させた。中之条ビエンナーレ作家のCLEMOMO(クレモモ)さんの作品を展示した305号室「こでまり」と、山形敦子さんの作品が飾られている307号室「いわかがみ」。
CLEMOMOさんはカナダ人のクレムさんと日本人のモモさんの2人組。2019年から中之条町を活動拠点にしている。「山ばとがいつも仲睦まじく2羽寄り添っているように、お客様にもこの部屋で2人の時間を楽しんで欲しい」とアーティストルームを制作した。2人部屋のイメージから2対の人形を作り、大胆な存在感で、赤・青・黄色のカラフルな原色が明るい気持ちにさせてくれる。作品の一部には改修工事の際に出た廃材を再利用。ルームキーにもミニチュアのオブジェを採用した。
山形敦子さんは北海道生まれ。長期でフィリピン・マニラに滞在後、2021年群馬県吾妻郡に拠点を移す。コラージュとドローイングを組み合わせた平面・立体作品を制作。6畳の和室2部屋を1つに合体させ「リビング+寝室」のファミリール―ムに改装した。太陽が沈むと障子に描かれた動物たちがぼんやりと見えなくなり、朝になると再び姿を現す変化が楽しめる。中之条町はかつて養蚕が盛んな地域で家の2階が養蚕場となっていた古民家が数多く現存している。客室のライトには養蚕で使用されていた道具を用い、夜は部屋の電気を消し、作品だけ点灯して楽しむこともできるという。
湯の宿山ばとの山口社長は「中之条町に縁のある作家さんに、中之条町をテーマにした作品を依頼して、中之条ビエンナーレの期間以外でも宿泊すれば作家さんの作品がいつでも見られるアーティストルームを作りました。ほかの温泉地にはない楽しみ方ができるとお客様からも大変好評です」と話している。