「社長自らが先頭に」コンプラ遵守求める 北陸復興・海旅復活を重点に(JATA2024年度総会)
2024年6月21日(金) 配信
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1143会員)は6月19日(水)、東京都内で2024年度総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、全員が再任した。冒頭、髙橋会長は、コンプライアンス問題について触れ、「ここにお集まりの経営トップの皆様に私からお伝えしたいことは、コンプライアンスはすべての業務に優先するのだと社長自らが先頭に立って有識者委員会の皆様に示し続けてほしい」と呼び掛けた。
JATAは、外部の専門家から成る有識者委員会を設置し、この指導内容に基づいた再発防止策を3月に策定し、実施している。
来賓で出席した観光庁の髙橋一郎長官は、元日に発生した能登半島地震においての2次避難先マッチング作業の迅速な対応などに謝辞を述べ、「北陸は日本の宝。観光庁も、被災地の復旧・復興に全力で対応して参りますので、北陸の観光振興に引き続きお力添えいただきたい」と述べた。
また、公的事業や雇用調整助成金の不正受給、談合などの不正が相次いだ旅行業界について、「本社だけではなく地方組織を含めた改革が重要。旅行会社の信用・信頼の回復につながる、コンプライアンスの徹底を。自浄作用が働く業界となるよう望む」と話した。
2024年度事業計画では、①コンプライアンスの徹底②能登半島地震からの復興③海外旅行復活④高付加価値化⑤協調共創の具現化⑥持続可能な観光の推進⑦商環境の変化への対応⑧人材獲得・育成⑨経営支援──を主な項目として挙げた。
海外旅行自由化60周年、日米観光交流年に関連した活動などを通じて、海外旅行の機運醸成に資する施策を行う。また、パスポート所持率の向上に向けた取り組みに加え、若者の海外旅行促進、地方空港における国際定期路線の就航に向けたチャーター支援など、官民連携した日本人のアウトバウンド拡大を目指し、政府・与党への提言を継続する。
高付加価値化については、アドベンチャートラベルなど、魅力ある日本の文化や視点を生かしつつ、地域のサステナビリティと収益性を実現する考え。また、髙橋会長は、「高付加価値への取り組みを行うことで、旅行会社の存在価値向上にもつながる」とした。
23年度に稼働を始めた「観光産業共通プラットフォーム」は、これまで各社で対応していた宿泊施設の基本情報を一元化して提供することで、旅行会社と宿泊施設双方の大幅な業務の効率化をはかっている。能登半島地震でも緊急情報対応として、当該エリアの施設における被害状況を、地震発生から24時間以内に集約統一化した。
髙橋会長は、「旅行会社から施設への問い合わせは大幅に減少した。施設からは、お客様対応や復旧作業に専念できたと感謝の声を多くもらっている」と報告した。
持続可能な観光の推進として、産官学が連携した休み方改革の浸透による平日旅行の拡大や、オーバーツーリズムの解消、双方向交流人口の拡大などに取り組む。
任期満了に伴う役員改選では、髙橋広行会長(JTB取締役会長)、小谷野悦光副会長(日本旅行社長)、原優二副会長(風の旅行社代表)、酒井淳副会長(阪急交通社社長)、蝦名邦晴理事長が再任した。運営役員は6人が新任となった。