【特集 No.658】「タップ」吉田亮一社長に聞く THLで何が行われているのか
2024年6月29日(土) 配信
ホテル向けシステム開発の「タップ」(東京都江東区)は今年6月1日、新社長に吉田亮一氏が就任した。昨年6月には沖縄県うるま市に、次世代技術開発の総合戦略拠点「タップホスピタリティラボ沖縄(THL)」を開設。宿泊施設で行われているさまざまな接客サービスを、「人にしかできないサービス(ホスピタリティ)」と、「作業としてのサービス」に領域を明確化し、ロボットなど最新テクノロジーを活用した実証実験を日々行っている。吉田新社長に「THLで何が行われているのか」――など詳しく聞いた。
【編集長・増田 剛】
◇
□ホスピタリティサービスの革新へ
――創業から、次世代技術開発の総合戦略拠点「タップホスピタリティラボ沖縄(THL)」開設までの経緯を教えてください。
当社は前社長の林悦男(現会長)が1985年に、ホテル向けのシステムベンダーとして創業しました。現在約1700軒の宿泊施設に利用していただいていますが、あらゆるシステム開発にとって“コモディティ化”が進むのは宿命です。当社にとっても自社のシステムだけでは性能や品質などの差異化が難しくなってくると認識しています。
そこで、新しいテクノロジーを活用して、安心・安全・清潔・エコ・コンビニエンスな宿泊体験と効率化、そして「新たな宿泊業の価値創造」に向けて取り組んでいく方向性を定めました。
これまでの宿泊施設は「おもてなしは人がやるもの」という前提に立っています。ホスピタリティの中身を分解していくと、作業としてのサービスの領域に「人」が携わっているため、最も大切な「人」がおもてなしをする領域に手が回っていない状況が多々見られます。
宿泊施設で行われているさまざまな接客サービスを、「人にしかできないサービス(ホスピタリティ)」と、「作業としてのサービス」に明確に区分し、この「作業としてのサービス」を、テクノロジーを活用した仕組みに変換することで、顧客満足と生産性の向上を追求していきたいと考えています。当社では、「ホスピタリティサービスエンジニアリング」と表現しています。今後宿泊施設が成長するうえで重要なポイントになると捉えています。
これを具現化する場所として昨年6月、自社資金によって、沖縄県うるま市に「THL」を開設しました。これまで育てていただいた宿泊業界に生業を基にご恩返しをしたい」という強い想いも込められています。
――吉田社長の経歴は。
1990年に前職の全日本空輸(ANA)に入社しました。マーケティング関連業務が長く、