第10回「ピンクリボンのお宿」シンポin湯郷(おかやま) 会場・湯郷グランドホテル(岡山県美作市)
2024年7月2日(火) 配信
ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月27日、岡山県美作市の湯郷温泉・湯郷グランドホテルで「第10回ピンクリボンのお宿シンポジウムin湯郷(おかやま)」を開いた。キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんの基調講演や、辻料理研究所取締役兼教育事業部部長の大引伸昭氏の講演、会場となった湯郷グランドホテル女将の峯平ゆかりさんの会員活動報告などが行われた。
□旅も温泉も諦めないで 旅館、行政など約90人参加
第10回「ピンクリボンのお宿シンポジウムin湯郷(おかやま)」には、同ネットワーク会員の旅館・企業・団体をはじめ、岡山県内の旅館や観光連盟、行政、患者会など約90人が参加し、講演や活動報告に熱心に耳を傾けた。
畠会長は冒頭、元日に発生した能登半島地震の被害について、第8回シンポジウム開催地であった石川県・和倉温泉に対し、「当会の会員である加賀屋グループは、半年経った今でも復興に向けた歩みはスタートできていないとのこと。能登の方々の、一日も早い復興をお祈り申し上げます」と見舞いの言葉を述べた。
乳がんの手術や治療を受けて回復の道を辿りながらも、術後の痕などを気にして旅を諦めてしまう女性たちに、「誰の目も気にせず、心ゆくまで旅館やホテルでの温泉入浴を楽しんでもらおうと発足した。設立時の2012年は16人に1人といわれた乳がんも、現在では9人に1人が罹患すると言われている。本日のシンポジウムが皆様にとって実り多いものになれば」とあいさつした。
地元の来賓として、萩原誠司美作市市長、野﨑正志岡山県観光連盟専務理事、峯平晃行湯郷温泉旅館協同組合理事長、永山泉水湯郷温泉おかみの会会長が出席した。
萩原市長は、「『ピンクリボンのお宿』の存在を知らなかった。男性を含めて、ピンクリボン運動というものを正確に理解するのは間違いなく良いこと。県内の方々や美作市の方々に、知見を深めていただければ」と話した。
野﨑専務理事は、「旅行需要が戻ってきたが、一部の地域で、その時期だけ繁盛すればいいというわけではなく、多様性というものを考え、持続可能なビジネスと地域づくりにつなげる」とし、「多様性という面からも、ピンクリボンの活動は大きな意義を持っていると考える。お客様が喜んで笑顔で帰っていただくことが、この活動の一番の目標であり、社会貢献につながる」とエールを送った。
□10回目のシンポ盛況に さらなる啓発・普及を
同会の会員数は、旅館が104軒、旅館組合など団体が5会員、企業が15社の合計124会員。
23年の活動内容では、毎月10月に発行する「ピンクリボンのお宿冊子」で、会員施設や宿泊特典クーポンを掲載。10万部を発行し、会員や病院、患者会を通して、希望者に届けている。
このほか、ピンクリボンのお宿や入浴着の啓発ポスターを作成し、会員施設のロビーや脱衣所などに掲示して、一般の利用者にも周知している。
シンポジウムの会場には、会員企業がブースを設置し、自社の製品を展示した。ウィッグや入浴着、人工乳房などの製品を直接手に取り、熱心に説明を聞く参加者の姿が見られた。
第1部では、キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんが、「人生100年時代の『女性』と『がん』」について基調講演を行った。また、会員活動報告では、湯郷グランドホテル女将の峯平ゆかりさんが、「ピンクリボンのお宿として 12年の取り組み」を紹介した。
第2部では、辻料理教育研究所取締役兼教育事業部部長の大引伸昭氏が、「辻調理師専門学校留学生アンケートから見た日本料理」について講演を行った。