全旅連、第102回全国大会in北海道開く 井上会長「宿を核に地方創生の使命と責任がある」
2024年7月2日(火) 配信
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(井上善博会長、1万4783組合員)は6月19日(水)、第102回全国大会㏌北海道を札幌パークホテル(札幌市)で開いた。組合員や来賓、関連企業ら約1000人が集結し、「宿を核とした地方創生の実現」などを目指す大会宣言や、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産の登録実現に向けた機運醸成――など15項目にわたる決議の採択を行った。第27回「人に優しい地域の宿づくり賞」など各種表彰も実施した。
◇
全国大会の冒頭、大会実行委員長の西海正博北海道理事長は、「全旅連は井上会長のもと、全組合員が一体となって前進するために、意義ある大会になれば」と歓迎のあいさつをした。
井上会長は、「昨年の6月に全旅連会長を拝命して早1年。あっという間の1年だった。なかでも一番の出来事は、元日に発生した能登半島地震と、その対応だった」と振り返り、関係者に感謝の意を述べた。
続けて「全旅連は単なる宿泊事業者が集まる組織ではない。我われの先人たちが長い歴史の中で『宿文化』を築き上げてきた。この唯一無二の文化的な価値を維持、継承していく宿泊団体だ」と力を込めた。
さらに「宿を核とした地方創生を実現していく社会的な使命や責任を持っている」として、生産性、収益性の向上や、人手不足問題、自然災害への対応など、宿泊業界が直面する課題を一つひとつ解決していき、「持続可能で稼げる産業へと変化し、業界全体の地位向上につなげていこう」と呼び掛けた。
来賓には、自民党観光産業振興議員連盟会長の岩屋毅氏、北海道知事の鈴木直道氏、札幌市長の秋元克広氏ら多数が出席し、祝辞を述べた。また、岸田文雄首相からは、能登半島地震の震災直後から被災者に宿泊施設を提供したことに対し謝意を表すビデオメッセージも寄せられた。
第27回「人に優しい地域の宿づくり賞」の表彰式では、グランプリの厚生労働大臣賞は、一の坊(宮城県)の「地域のめぐみを大切にする地域環境に優しい温泉リゾートのSDGsへの取組み」、全旅連会長賞は、ひなの宿ちとせ・酒の宿玉城屋(新潟県)の「料理人、生産者そして子供達と里山の食の多様性と持続可能性を考察する『松之山サステナブルダイニング』」、選考委員会賞は、茶心の宿 和楽園(佐賀県)の「地域観光資源の再活用した客室改修 2つのSDGs『地域観光資源の発見と再活用』『地域経済循環の活性化』に取り組む嬉野ならではの滞在提供」が受賞した。
「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録の実現に向けては、2025年1-2月までに署名100万筆を目標に広く国民の機運醸成をはかる。26年3月に国内候補、28年12月の登録を目指すことを確認した。
大会終了後には、大懇親会を開催した。
□定山渓で総会 理想的な観光税・宿泊税とは
全国大会に先立って、前日の6月18日(火)には札幌市定山渓温泉の「定山渓万世閣ホテルミリオーネ」で24年度通常総会が開かれた。
今年度は全旅連ホームページの更新やSNSを用いた活動・情報配信、組合員データ収集などのデジタル整備や、災害に備え全旅連本部でのデータベースの構築などに重点的に取り組む。
総会では、全国で観光税・宿泊税導入の議論が進むなか、全旅連観光立国推進委員会の森晃委員長(旅館さかや、長野県)が登壇。森氏は理想的な観光税について、「自立した観光組織が地域に根差した観光政策を推進し、持続可能な発展を促す財源となること」と述べ、観光組織や人材が独立して予算を管理し、使途の立案に責任を持つことなど、重要なポイントを説明した。
なお、25年度全国大会の開催地は、6月17日(火)に東京都千代田区のホテルニューオータニに決まった。