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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(162)ロープレ研修を進化させる 感じた気づきが明確に

2024年7月14日(日) 配信 

 

 当社主催の「おもてなしセミナー」では、私自身が日常生活で体験した良いサービスを紹介し、サービスの翻訳者としてそのサービスを創り出す「根っこ」の想いや考え方について話しています。さまざまな業種の参加者に向けて、毎回たくさんのサービス事例を知っていただきたいのです。その事例を自らの仕事に置き換えて、新しいサービス行動を創り出し、お客様の心を掴む機会を増やしてほしい。

 さらに重要なのは、事例から思い付いた行動を実際に「やってみる」ことです。やってみて初めて知ったことができるようになります。ただ、やってみるには勇気が必要です。「上手く行かなかったらどうしよう」「失敗して苦情を言われるなら何もしない方が良い」などと考えて、実行する勇気を出せない人も多いのです。

 あるクライアント企業では、やってみる機会を作るため、スタッフのロープレ研修を実施しています。身近な仲間の前でロープレするのは非常に緊張する時間ですが、あえてその環境でやることに意味があります。緊張状態の中で、人は思わぬ行動を取るものです。教えられて身に付けた行動ではなく、純粋にお客様に喜んでもらいたいという想いから出てくる行動です。

 また、通常の仕事中は各人がお客様と懸命に向き合っているため、職場の仲間がどのような接客をしているか気づかない。ロープレ研修はそれを再現して、他の人の研修の様子をただ見るだけなく、気づいたことを後で発表し合う。発表を上手くやることに意識を集中させるのではなく、目の前のロープレに集中させる。意見を発表することで、感じた気づきを明確に記憶に残せるのです。

 あるロープレ研修では、旅館に到着した車からお客様のお荷物を取り出して受け取るシーンを、スタッフに交替でロープレしてもらいました。お客様役のスタッフは、今までの対応との違いや「おっ」と思える良い行動に気づく機会に出会うことになりました。

 ひとつのロープレが終わったあと、気づいたことを発表する意見交換で、お客様役のスタッフから、お預かりした荷物の個数を具体的に「3つ」と伝えることが「間違いを無くす意味でも非常に良い」という意見が出ました。

 そこで、私はあるタクシー運転手の素晴らしい荷物確認の仕方を、体験事例として紹介しました。その結果、これから実行するおもてなし行動として、「荷物の数を言葉で確認しよう」となり、さらに、言うだけではなく指で数を示すことがより確実で、また自分たちのおもてなし行動をお客様にアピールできるし、記憶に残してもらえるとして、これから実行して行くことが決まりました。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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