日本バス協会、労働条件の改善を 「人手不足が減便に影響」
2024年7月5日(金) 配信
日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長)は6月14日(金)、東京・経団連会館で2024年度定時総会を開き、政策要望決議と安全輸送決議、24年度事業計画などすべて承認可決した。政策要望決議では、25年度バス関係予算や税制措置などの拡充を求め、地域住民の足として役割を引き続き果たしていけるよう強く要望するとした。
清水会長は「バスの人手不足は本当に深刻。路線バスは減便、廃止などの影響が出てきている」と実情を訴える。運転者の採用・定着に向けて、必要な運賃改定を継続して行い、運転者の賃上げにつながるようにすることが不可欠として、労働条件の改善による人材確保を呼び掛けた。
24年度は、運転者の確保対策と働き方改革に向けて、人材確保支援として助成事業を拡充強化する方針だ。外国人運転者制度の本格導入に向けて、「良い実例を世の中に示し、安心していただけるよう取り組みたい」と清水会長は話した。また、運転者を守るために、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策を強化する考えを明かした。
貸切バスについて、清水会長は「修学旅行の対応ができないくらいの運転者不足。修学旅行の時期が集中している問題もある」と説明した。国として修学旅行の実施時期の分散化をはかってほしいなどの要望を、6月13日(木)に開かれた自民党バス議員連盟総会で決議し、同議連幹事長の盛山正仁文部科学大臣に申し入れを行ったと報告した。
このほか、自動運転の加速化、EVバスの導入拡大、本格的なキャッシュレス化などの実現に向けた国への要望を継続していく構えだ。
□「10年ビジョン」、中間とりまとめ発表
日本バス協会はこのほど、これからのバスのあり方「バス再興10年ビジョン」の中間とりまとめを発表した。コロナ禍を経て、バス事業をとりまく環境が大きく変化している状況などを踏まえて将来を見据え、バスを夢のある産業にすることを目指すもの。人材不足と働き方、EVバス普及、自動運転の本格化、キャッシュレス化の推進、安全安心なバスの徹底などを盛り込んだ。清水会長は「年内秋を目途に正式に決定し、実行していきたい」と力を込めた。