サービス連合、賃金改善額・率が最高に 労使ともに人材投資への重要性認識
2024年7月31日(水) 配信
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、櫻田あすか会長)が6月19日(水)までに集計した2024年春闘のまとめによると、26組合の賃金改善額は平均1万5469円、改善率は定期昇給を併せて5.28%とそれぞれ過去最高となった。
7月26日(金)に開いた会見で櫻田会長は「人手不足や訪日旅行が好調である背景から、人材に対する投資の重要性を労使共に認識できた結果」と説明した。
業種別の改善額は、ホテル・レジャー業が1万3588円(改善率5.3%)。ツーリズムが1万5994円(同5.23%)となった。
夏季一時金の平均支給カ月数については、前年同期比0.04カ月増の1.57カ月。このうち、ホテル・レジャー業は同0.19カ月増の1.36カ月と最高だった。ツーリズム業は同0.06カ月減の1.90カ月。円安で海外旅行需要が回復していないことや、BPO事業の縮小などが影響した。
また、コロナ禍で多くの人が観光業から他産業に流出。サービス連合の組合員も減少したことから、サービス連合は組織拡大に力を入れた。
この結果、1044人が加入しているクラブツーリズム労働組合のほか、阪急交通社労働組合において時給型契約社員180人で構成する組織がそれぞれ加盟した。
人手不足の解決に向けて現場の声を訴えようと、5月に国民民主党の玉木雄一郎代表と立憲民主党の大島敦企業・団体交流委員会委員長、6月に自由民主党観光産業振興議員連盟の岩屋毅会長へ要請活動を展開した。
櫻田会長は「人手不足の深刻さを理解し、対策の必要性を認識してもらえた」と成果を話した。
同日に発表した24年秋闘と25年春闘方針では、24年春闘で初任給の大幅な改善がはかられた一方で、若年層に原資が多く費やされ、中堅層以上の改善が抑制されたことを受け、全体の賃金向上に取り組みながら、「35歳550万年収の実現」を求める。
櫻田会長は「(ほかの産業と比べて観光業界は)労働条件・環境が良くない。人材獲得競争に勝つため、魅力的な産業の実現を目指す」と意気込みを語った。