八芳園、エリアプロデュース企業へ 地域づくり事業を本格展開し観光に貢献
2024年8月23日(金) 配信
八芳園(井上義則社長、東京都港区)は8月22日(木)に同館で会見を開き、19年後の100周年を見据えた新たなグループビジョンとして「文化資産を活用したエリアプロデュース企業」を掲げることを発表した。第2創業期と位置づけ、これまで培ったノウハウを生かし、地域共創のパートナーとなる「HAPPO-EN AREA PRODUCE」事業を本格展開する。地域の価値を高めることで、観光分野への貢献をはかっていきたい考え。
登壇した井上社長は、「全国各地にある文化資産を再生し、付加価値のあるソフトを乗せて非日常体験として提供することで、文化と経済をつないでいく。新事業は日本が真の観光立国になるための新しいまちづくり事業だ」と説明した。
同社前身の長谷観光の理念である「我われは国民食生活の奉仕者、日本観光の奉仕者である」を紹介したうえで、世界でもポテンシャルの高い日本の観光について言及。「文化を維持することが日本の観光競争力を高めることになる。原点に立ち返り、観光に貢献していきたい」と意気込んだ。
新事業の意義として、日本の観光が抱えるオーバーツーリズムや文化資源の活用不足などの課題解決を挙げる。コンセプトは「日本を、美しく」。日本各地の文化、地場が持つ美しさを保ち、磨き上げていくことを目指す。
井上社長は「オーバーツーリズムで美しさが損なわれている部分もあるのでは。また、歴史的建造物など文化資産は年々減少している。地方の文化資産を守るために求められているのは、文化風習への理解と雇用・利益の創出の両面」とし、“在り続ける”ことの価値を追求していくとした。
なぜ同社がそれを成せるのかについては、400年の歴史がある庭園を有する文化への知識と理解、また東京五輪のホストタウン事業で東京の各DMOと連携したことや、全国13の自治体や企業、大学などと連携協定を結び、地域振興に関する事業をすでに行っていることを根拠にした。
また、拠点である「八芳園」はMICE誘致の獲得促進や文化資産を活用した国際交流拠点として飛躍を遂げるため、2025年2月から全館休館し、リニューアルオープンの25年10月1日に向け、半年以上かけて大幅な改装を実施する。「既存建物を次世代へとつなげる改修」をテーマに、「日本の、美意識の凝縮」を掲げる。会場数は15から11会場へ減築する一方、海外などからのMICE需要に応えられるよう大人数に対応できる会場を整備する。さらに、ムスリム専用キッチンを新設し、多様化する食のニーズに応えていく。
井上社長は「これからの八芳園グループの挑戦にご期待を」と呼び掛けた。なお、今回のリニューアルでは、地域との共存をはかるため宿泊施設の整備は行わないと断言した。