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サービス産業の休日・休暇 ― 書入れ時に休業する企業も出てきた

2016年1月11日
編集部

 一般企業だと、1月4、5日あたりから新年の業務がスタートする会社がほとんどだろう。でも、旅館・ホテルをはじめ、観光業界では年末年始は“書入れ時”で、超多忙な施設が多かったに違いない。新年のカウントダウンや、餅つき大会など、さまざまな節目のイベントの準備であっという間に新しい年が明け、気づいたら1月も中旬に近づいている、という感じではないかと思う。

 かくいう私は、のんびりとした年末年始を過ごした。レンタルDVDを7本借り、本を7冊買って、それにも飽き足らず酒をたくさん買い込んで休暇に突入した。DVDは7本全部観たが、本は中途半端に読み進んだままの状態が数冊あるだけ。酒はスコッチの「マッカラン」、菊正宗の超辛口、ボルドーやらブルゴーニュやら、チリ、イタリア、南アフリカ産など世界中のワインをしこたま飲んだ。

 旅には、どこにも行っていない。仕事と旅行の区切りが自分でも判別できなくなっているせいかもしれない。自分の真の休暇とは、家を出ずに、読書と映画鑑賞と、酒びたりと、際限のない惰眠にあると最近気づいた。そんな具合であるため、年始からフルスロットルで働いて来られた方々が妙に眩しく見え、それがゆえに自分の怠惰ぶりが一層引き立つ有様である。

 しかし、そんな体たらくの身でありながら、あろうことか、「年々正月が正月らしくなく感じる」などと書いてしまう。

 1月1日の夜、春の宵のように暖かく、とくに為すこともなかったので、ふらっと町中を歩いた。そんなに大きな町でもないのに多くの居酒屋さんが営業をしていた。店の中を覗くと、大学生風のグループが普段と変わらぬように飲んでいる。1時間ほど彷徨ったが、正月らしさを感じることはなかった。昭和時代は軒先に国旗を飾ったり、しめ飾りをつけた車が道路を走ったり、「ああ、正月だな」と感じ入ったものだったが、今はとくに都心ではそのような風情はほとんど見なくなった。街では365日通常営業というところが多く、社会全体にメリハリが無くなっている。

 年末に買い物に行った大型スーパーマーケットは「12月31日は夕方4時に閉店、新年は1月5日から営業開始」という貼り紙がしてあった。「随分思い切ったことをするなぁ」と感心した。多くのサービス産業が人手不足の状態にある理由の一端に、「年末年始などはゆっくりと過ごしたい」という思いがあるのも間違いないだろう。

 そのようなことを考えていたときに、三越伊勢丹が1月元日、2日を休業するというニュースを耳にして、こちらも驚いた。初売りセールで書入れ時に休業するのであるから、ライバル店に客を取られるし、売上の減少も覚悟のうえでの決断である。しかし、このニュースを聞いて感じるのは、「売上よりも従業員への思い」である。

 サービス業にとって、休日・休暇は重要な問題となっている。フランス・パリでは、多くの観光客でごった返す日曜日は基本的に休業で、ほとんどのスーパーが店を閉める。日本のサービス業は土日祝日、ゴールデンウイーク、年末年始などは休めない。けれど、例えば年間平均して高稼働率を保つ宿泊施設であれば、全館休業も実施可能かもしれない。新年だからこそ、思い切って「理想」を語ってみた。

(編集長・増田 剛)

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