23・1%増の619億9700万円を要求 新事業に宿の事業再生支援や、免税店モデル実証(25年度観光庁予算概算要求)
2024年8月27日(火) 配信
観光庁は2025年度予算の概算要求で、前年度予算比23・1%増となる619億9700万円を求めた。このうち、一般会計は149億9700万円となり、このなかに、22年度第2次補正予算で措置した国庫債務負担行為の歳出化予算30億円が含まれる。東北の復興枠では、前年度予算と同数の7億6500万円を求めた。
国際旅客税(出国税)充当する項目には、同17%増の470億円を要求。
25年度予算要求は、前年に引き続き、「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」を3本柱に置いた。
「持続可能な観光地域づくり」全体では66億9600万円、「地方を中心としたインバウンド誘客」全体では63億4700万円、「国内交流拡大」では11億5000万円をそれぞれ求めた。
観光庁は、「観光は我が国の成長戦略の柱であり、地域活性の切り札」だとして、持続可能なあり方で、戦略的に各事業に取り組む考え。
新規事業は、宿と経営ファンドなどとのマッチング事業で、宿の立て直しをはかる「観光産業再生促進事業」に3億円、税制改正の制度変更に伴い、小売店免税店化のモデル実証事業などを行う「地方部における新消費税免税店モデル構築等事業」に5000万円を要求した。
「観光産業再生促進事業」は、コロナ禍で増加した債務の返済に行き詰まり、今後倒産・廃業に至る宿泊事業者が増加するおそれがあることから、債務を抱えつつも再生能力があると見込まれる宿泊事業者に対し、宿泊業における経営能力を強化する観点から、事業再生の後押しをはかる。
具体的には、再生ファンド・中小企業活性化協議会などが金融の観点から再生可能性の判断や資金支援、再生計画策定支援などを行い、宿泊事業の運営改善をはかるための取り組みを促進する。宿泊事業専門のコンサル事業者の派遣を通じた運営プランの充実化や、宿泊業の運営に精通した事業者とのマッチングを行う。
「地方部における新消費税免税店モデル構築等事業」は、訪日旅行者が増加するなかで、地方誘客と高付加価値化による消費拡大を促進することが重要とし、「買い物による消費」を免税制度で後押しする事業。
25年度税制改正において、制度変更が行われるなか、制度変更後の円滑な運用を通じたさらなる消費拡大を目指すため、小売店が免税店化するうえであらかじめ課題を整理する必要がある。
24年度税制改正で「出国時に税関において持ち出しが確認された場合に免税販売が成立する制度」に移行することとされたことを受けて、観光庁では、「消耗品の特殊包装の廃止」「消耗品の上限額の撤廃」「免税対象となる『通常生活の用に供する物品かどうか』を免税店での判断を不要にする」──などを要望した。
これに関連し、同事業では、地方部で工芸品・特産品などの高単価商品を販売する小売店を中心に、免税店化のモデル実証事業を行い、得られた知見を周知する。
このほか、「観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズムの創出事業」には、同825・9%増の50億円を要求した。幅広い人へストレスフリーな宿泊環境を整備することで、需要の平準化や新たな交流市場拡大を進め、観光産業の収益性の向上をはかる目的。
施設改修や災害対応に関わる設備導入などに掛かる改修費の補助や、高齢者・障害者などに応じた旅行商品造成にかかるモデルツアーを実施する。